昨日あるメディア関係者とのやり取りで、いま「きんとれ」が流行っているらしいですよ。何でまた今頃「筋トレ」ブームなん??その「筋トレ」でなく「金トレ」です・・・・と。そうなのか。
3月6日のN金は5営業日続伸。前日比16.30ドル高の2158.20ドルで終了した。一時2160.70ドルと史上最高値を更新した。4営業日連続で終値ベースの高値更新も。
先週末8日のISM(サプライマネジメント)製造業景況指数の予想外の低下をきっかけにした上半期米利下げ観測の再浮上が、ファンドの先物買いを引き出している。当初は空売りの買戻し(ショートカバー)と見られたが、今週に入り2100ドルを上抜いて以降は、新規の買い(フレッシュ・ロング)を巻き込むかたちで上値追いに拍車がかかった。
年初から中国を中心にアジアで現物買い需要が強く、需給バランスが締まっていたことも値動きの軽さの背景とみられる。それが大きな抵抗感なく高値更新をもたらしている。
加えてNY先物市場では、未決済取引(取組高)が昨年末以降減っており、昨年末の高値更新後のポジション整理が進んでいたことも(取組と日柄調整の終了)、値動きの軽さにつながっているだろう。
中心限月の出来高は30万5990枚(1枚=100オンス)だったが、取組は33万0046枚なので、いわゆる回転が利いている。まさにモメンタム、順のパターンで上値追いとなった。
昨日はここに5日発表のISM非製造業景況指数の減速を受けて急伸したNY金について、「高値2152.30ドル(23年12月4日)にわずかに届かなかった。ちなみに急伸後20ドルほど急落したことを見ると、高値更新にはさらなる手掛かり材料が必要と思われる」と書いた。そのさらなる手掛かり材料が6日に出た。
まずこの日の早朝に発表された2月のADP全米雇用報告(民間部門)では非農業部門の雇用者数が前月比14万人増と、市場予想の15万人増は下回った。発表前に2150ドルを下回っていたNY金だが、その後これまでの最高値を突破。さらに2155ドルを超えたところで始まったのが、この日10時から米下院で予定されていたパウエル連邦準備理事会(FRB)議長の公聴会(議会証言)だった。
始まってすぐにNY金は10ドルほど急落し2140ドルに接近。しかし、すぐに切り返し売り買い交錯ののちに再び上値追いに転じた。そのまま切り上げた水準を維持し終盤には2160.70ドルまで買われ、前述のように通常取引は2158.20ドルで終了した。
パウエルFRB議長の初日の議会証言は、大方の予想通りの内容だった。
「経済見通しは不透明で、2%のインフレ目標に向けた継続的な進展は保証されていない」とした。その一方で「経済が予想通り大幅に進展すれば、今年のある時点で利下げを開始するのが適切な可能性が高い」とした。議長が年内利下げの可能性に言及したことで、今後の進展はいずれにしても利下げ方向との受け止め方が改めて広がったことは、市場センチメントを安定させた。米長期金利は下げ、10年債利回りは一時4.083%と1カ月ぶりの水準に低下。
この日発表された1月の全米雇用動態調査(JOLTS)では、非農業部門の求人件数は2万6000件減の886万3000件となった。
今週ここまで発表されている(ISMの指数を含め)米雇用関連データは減速を示すものが増えていることが、8日の米雇用統計が1月のような上振れにはならないのではないかとの憶測につながっている。
本日は上院でパウエル議長の議会証言2日目。