3月14日のNY金は4営業日ぶりの反落に。といっても5.60ドル安の1910.90ドルで終了ということで1900ドル台を維持した。
前日までのリスク回避姿勢が落ち着く中で、金市場ではやや売りが先行する流れとなり、反落となった。NYコメックスの通常取引は5.60ドル安の1910.90ドルで終了した。
米中堅行2行の破綻の影響で前日まで銀行株中心の下げが目立った米国株式市場も売りが一巡し、反発。株式市場が取引を開始し反発で始まると金市場は売り優勢の流れとなり、NY金は一時1900ドル割れ(1899.80ドル)まで売られた。しかし、切り返しも早く急速な戻りを見せ1910ドル台に復帰。底堅さを感じさせた。
14日は、もともと来週21~22日の連邦公開市場委員会(FOMC)を前に市場注目の経済指標、2月の米消費者物価指数(CPI)の発表が控え市場は身構えた状態にあった。というのもこのところCPIはインフレの根強さを示し、波乱材料になってきたことによる。
そもそもFRBの急激な利上げに端を発した金融システム不安の高まりで、利上げ継続に疑問を持つ指摘が見られ、来週の政策会合を読むうえでインフレ指標の比重もやや低下した感はあるのは確かだった。それでも、インフレ抑制は政策項目の中心であることに変わりなく、手を緩めるわけにはいかない。破綻行の預金全額保護を早々に決めたFRB、米財務省、米連邦預金保険公社(FDIC)の異例の対応は、不安心理の連鎖を防ぎ通常の政策執行を進める環境を整備するためでもあった。
発表されたCPIは伸びが鈍化したものの、なお高水準にとどまり、来週の会合でも利上げは続行されるとの見方を裏付けた。総合指数の前年比伸び率が6.0%と、前月の6.4%から減速し2021年9月以来の穏やかな伸びになった。(変動の大きい食品とエネルギーを除く)コア指数(コアCPI)も前年比は5.6%から5.5%にわずかに減速し、市場予想に沿ったものだった。しかし、コアCPIは足元のトレンドを示す前月比上昇率が0.5%で、前月の0.4%から若干加速し、昨年9月以来の大幅な伸びだった。
コア指数を押し上げたのは、住居費のほか、娯楽、航空運賃などの上昇。一方、 食料品・飲料品の月間上昇率は2021年5月に迫る低さで、中でも鶏卵価格が大きく低下した。米国での卵の異常な値上がりは日本でもワイドショーなどで報じられ有名になったが、自宅でニワトリを飼う人が増えたと言われていたほどだった。
いずれにしてもコア指数上昇の根強さは、FRBの利上げを正当化するものとなる。市場は、再び0.25%の利上げを織り込む流れに戻っている。
さて、今回金融システムにいわばヒビが入ったわけだが、この修復は取り付け騒ぎ(bank-run)を鎮静化することはできても、金融の相手方の財務内容に対する疑いから、資金の流れが滞ることが起きないか気になる。
ゆるゆるのゼロコストマネーを使うことで運営されていたところは多いわけで、今回、担保価値を上げてもらって資金を引き出せるという緊急避難措置で、延命というところも当然多いと思われる。
米国はじめ株価は反発したが、持続性は疑問だ。 高値圏だがゴールドの堅調地合いは続くと思われる。