オミクロン株の影響はあるだろうということは予想していたが、まさかの結果だった・・・・というのが昨日発表された1月のADP全米民間雇用報告だった。報じられたように市場予想20万7000人増(ロイター)に対し、30万1000人減と、まさに予想外の振れ方ということに。
減少は2020年12月以来1年1カ月ぶりとのことだが、振れ幅の大きさは新型コロナ禍ゆえのこと、ということだろう。オミクロン株の影響で企業活動の混乱が響いた。ADPのエコノミストも発表に際し、それを指摘した上で影響は「一時的なものになる可能性が高い」としたとされる。
ただし、この結果を受けて、明日4日に発表される労働省発表の1月雇用統計のNFP(非農業部門雇用者数)の予想を、下方修正する動きが広がることになった。もともと1月の雇用者数の事前予想はオミクロンの影響をどう読むかということで25万人増から40万人減までレンジが広く、中央値で15万人増となっていた。ゴールドマンサックスは25万人の減少を予想している。 ただし、ADPの結果を受け“やはりね”ということで、1月の雇用悪化を確認済のようなかたちになったとみられる。それでも結果が強ければポジティブ・サプライズということになりそうだ。
予想通り仮に雇用減少となっても、FRBはタカ派方針を崩さないだろうというのが市場コンセンサスとなっている。もっとも、今後も成長鈍化を示す指標が続いた場合、利上げ見通しの回数が減ることはあれ、利上げ方針は変わらないとの見立てとなる。 2日に発表された12月の雇用動態調査(JOLTS)にて求人件数が1090万人と過去最高水準を維持していることが判明しており、相当なショックがないと崩れないとの捉え方が大勢と思われる。
雇用者数の減少を織り込んだとすると、市場の関心は2月10日に発表される1月の米消費者物価指数(CPI)に移ったと言える。
さて昨日は、ドル相場の見通しに絡んで書いたが、本日はこの後、欧州中央銀行(ECB)理事会の結果が判明する。引き締め方向の内容を示すのか。日本時間の22時30分に始まるラガルドECB総裁の記者会見が注目される。いまだハト派スタンスを維持するのか。インフレの加速でドイツなどからプレッシャーは強まっていると思うが、どうなるか。その後、英中銀イングランド銀行も金融政策委員会の結果も判明する。市場では0.25%(25bp)の追加利上げ決定が完全に織り込まれている。2日の英ポンドは一時1.3587ドルと、約2週間ぶりの高値を付けていた。こちらも、どうなるか。
本日、先ほどPodcast更新、テーマは以下のような内容。全編17分
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#037 FRB引き締めの方向性を示すウォラー・ブラード発言(1月米雇用統計は材料性低下)