1月25日のNY金価格は4営業日続伸。前日比6.80ドル高の1935.40ドルで取引を終了した。終値ベースで昨年4月21日以来の高値で、約9カ月ぶりの高値を再び更新ということに。
ドル円相場が130円台でやや弱含みに推移したことから、本日の田中貴金属工業など国内店頭小売価格は、グラム単価8160円程度となり、過去最高値を更新したとみられる。昨年4月と6月にいずれも8150円台を付けていたが、その時はもっぱら円安が国内価格の押し上げ要因だった。今回は、この2カ月半余りの間のドル建て価格の上昇が押し上げ要因となっている。
25日のNY金の上昇は、週初の米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道もあり、来週の連邦公開市場委員会(FOMC)では米連邦準備理事会(FRB)が利上げ停止の判断基準を検討するとの見方から、積極的な金融引き締め継続への警戒感が後退し、米長期金利やドル指数(DXY)の低下が追い風となった。NYの通常取引開始後に売りが先行し一時は1918.20ドルまで急落する局面が見られたものの、売り一巡とともに旺盛な押し目買いに1940ドル近くまで値を戻し終了となった。
市場では、来週のFOMCで0.25%、3月会合でも同じ幅での利上げを実施。その後FRBは、年内は切り上げた水準をおおむね静観するとの見方が台頭している。そうなると5%で利上げは止まることになる。先週まで盛んに伝えられたFRB高官の発言の大半は、5%超の水準への切り上げを読んでいることから、依然として市場観測とのかい離が進んでいる。
この点で目先のリスクは、来週のFOMC後の記者会見にてパウエル議長の発言内容となる。
仮に先週のセントルイス連銀ブラード総裁のように、5.5%までの上昇を見込んでいるといった類のタカ派発言が飛び出すのなら、NY金は調整局面入りということになりそうだ。1900ドルを割れ、複数日をかけて1870ドル、あるいは心理的節目の1850ドル辺りまで調整という可能性はあっても不思議はない。そこまでのタカ派発言は今回はないと思うが。上げ一辺倒でないのも相場ということで。