亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

潜むリスクに無頓着なNY株市場

2014年06月21日 23時58分41秒 | 金市場
今週のFOMCを超えて生まれた市場センチメントは、緩やかながら米国景気の回復が続く一方で、FRBによる緩和的な金融政策は当面続くというもの。最高値圏にある株価については、伝統的な指標に照らし合わせても歴史的な水準から外れていることを示す根拠は「まだ見当たらない」としたイエレン議長のお墨付きがNY株を押し上げた。

相変わらずの小幅上昇だがNYダウもS&P500種も20日の取引で過去最高値を更新した。薬品やネット関連が多いナスダック総合株指数は4368.037と約14年ぶりの高値まで買われている。株式市場にとって居心地のいい安定したカネ余り状態が続くとすれば、上昇相場はまだまだ続くという判断なのだろう。それにしても20日は、イラク情勢の緊迫化で原油価格が上がったことを受けて、業績への追い風になるとして石油大手などエネルギー関連銘柄が買われ株価指数を押し上げたとされる。

思うに、WTI原油が100飛び台でおとなしくしている分にはいいが、スンニ派武装勢力がバグダッドに迫り仮に南部の油田地帯にまで影響が及ぶことがあれば、さすがに原油も高値追いということだろう。日本国内でもこのところガソリン価格の上昇が話題だが、原油が急騰するような事態に至れば再び新興国の状況が不安定になるのではないかと思っている。そうなると、最高値圏にあるNY株も、エネルギー関連株が押し上げ要因となり高値更新などとうそぶいていられなくなるだろう。

さらに米最高裁が下級審の判決を指示してアルゼンチン政府に対し、ヘアカット(債務の減免)を拒否したファンドの対し支払いを命じるということあった。こちらも注意するに越したことはない。そうなると受け入れなかった他の投資家に対しても支払い義務が発生することになるからだ。これに係わる償還金は約150億ドル(1兆5300億円)とされるが、アルゼンチンの外貨準備は年始のペソ急落の際の買い支え(為替介入)もあり急減し300億ドル程度まで減っているとされる。なるべく波風を大きくしたくないので双方の話し合いはされるとは思うが、こちらもやはり問題が燻っているわけだ。こちらが神経質過ぎるのだろうか。

金市場では、こんな時にショート(売りポジション)は持っていられない・・・とファンドはカバー(買戻し)に走り値を上げたのだが。


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