亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

ドル指数高値更新、下げ渋りのNY金

2018年10月31日 23時48分20秒 | 金市場
金市場は独自材料のない中で、株式市場の動向や、ユーロを中心とするドルの値動きに左右される展開が続いている。10月の米雇用統計の発表が控えていることや1週間後に迫った米国の中間選挙を前に、やや模様眺めの展開は否めない。

引き続きユーロ安が金市場の上値を抑えている。先週末のドイツの地方選挙で、歴史的敗北とされた2週間前のバイエルン州に続き、与党が大きく議席を減らすことになった。報じられているように、メルケル首相がキリスト教民主同盟(CDU)の次回の党首選には出ず、首相も現在の任期が切れる2021年までとする意向を示したことで、欧州政治のリスク要因が広がることになった。これを受け、週明けから売られていたユーロだが、30日は、ユーロ圏7-9月期実質GDP速報値が前期比年率換算0.6%プラスと4-6月期の1.8%プラスから大幅に減速となったことで、さらに売られることになった。

ユーロ安は、6種類の通貨から構成されユーロの比率が約57%と高い「ドル指数(DXY)」を押し上げる。DXYは8月に付けた年初来方値を更新。昨年6月以来1年4ヵ月ぶりの水準に上昇したが、本日は年初来安値更新の攻防戦のような展開のユーロを置いて、DXYは上値追いで97ポイント台前半で推移している。NY金は、この環境下値の重い展開に。先ほど取引を開始した米国株も続伸で始まっている。

11月末のG20首脳会合の機会を使い米中首脳会談が予定されたことを、いったんは好感した市場だったが、中国のスタンスが変わらなければ米国は中国製品全額への課税を12月にも発表とのブルームバーグの報道に、週明けの株式市場は総崩れ状態に。中間選挙直前のこのタイミングでの株安の拡大は、トランプは嫌がるだろうなぁ・・・ということで、何らかの発言アリや
と思っていたら、FOXニュースのインタビューで「中国との素晴らしいディール」と楽観的見通しを語ったことで、株は急反転。それでも前日までの下げに対する自律反発の域を出ずということか。

今日の午前に発表された10月の中国の製造業PMI(購買担当者景況指数)は、前月より0.6ポイント低下し.2016年7月以来2年3ヵ月ぶりの低水準となった。関税を巡る米中双方の報復合戦の影響が、まず中国サイドに表われ始めているということだろう。中国人民元相場も節目の1ドル=7元が迫って来ている。気運としては再び「米国一人勝ち」といったところだが、NY金の下げが限定的なものになっていることからして、市場は米国サイドのリスクにも目配りしているということだろう。



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