亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

5月18日のFOMC議事録公開前に戻った金価格

2016年06月11日 22時55分09秒 | 金市場

前週の雇用統計を受け、週前半は利上げが遠のき再びドル高是正の原油高、株高か?というリスク・オン環境のような流れ。NYダウの1万8000ドル復帰、WTIが約1年ぶりに50ドル台復帰がそれを象徴。ところが後半に向かうにしたがい、英国のEU離脱シナリオが勢いを増し、にわかに暗雲たちこめリスク・オフで猫も杓子もソブリン債詣でということに。ついにドイツ10年債もゼロ以下かという雰囲気に。

EU離脱残留については議論白熱で、たしかに現地は盛り上がっているようだが、都市部と地方都市、さらに世代間での格差が大きいようだ。世論調査といっても、切り口がどうかで結果のフレも大きいようで、はっきり言って報道を鵜呑みにするわけにもいかず、結局手掛かり難。おそらく投票直前が一番騒がしい状況かと思われる。仮に離脱となっても、直ぐに動きが出るわけではなく、移行に時間がかかる案件。その過程で現実に沿った内容に修正されるのだろう。

こわいのは、すでに指摘されているが「抜けるのも(選択肢として)アリか」とばかりに、大陸で燻る民族主義的な風潮に火がつくこと・・。そうなれば、欧州ショックの発生で、ECBでなくFRBが大量のドル(流動性)を市場に供給ということになる。

しかし、域内で為替変動を気にせず人の行き来も自由という、一度手にした便利さは、それはそれで捨てがたし・・・ということのように思われる。船頭多くして船、山に上る・・・ということだし、あるいは船頭(リーダー)不在で船、山に・・・ということでもある。

さてリスク・オフで金価格はFOMC議事録前の水準に戻って1週間を終えた。ファンドのポジションも200トン強は整理された。投票結果にもよるが、英国だけで5月2日の1306ドル超えは厳しいと思われる。



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