前週の雇用統計を受け、週前半は利上げが遠のき再びドル高是正の原油高、株高か?というリスク・オン環境のような流れ。NYダウの1万8000ドル復帰、WTIが約1年ぶりに50ドル台復帰がそれを象徴。ところが後半に向かうにしたがい、英国のEU離脱シナリオが勢いを増し、にわかに暗雲たちこめリスク・オフで猫も杓子もソブリン債詣でということに。ついにドイツ10年債もゼロ以下かという雰囲気に。
EU離脱残留については議論白熱で、たしかに現地は盛り上がっているようだが、都市部と地方都市、さらに世代間での格差が大きいようだ。世論調査といっても、切り口がどうかで結果のフレも大きいようで、はっきり言って報道を鵜呑みにするわけにもいかず、結局手掛かり難。おそらく投票直前が一番騒がしい状況かと思われる。仮に離脱となっても、直ぐに動きが出るわけではなく、移行に時間がかかる案件。その過程で現実に沿った内容に修正されるのだろう。
こわいのは、すでに指摘されているが「抜けるのも(選択肢として)アリか」とばかりに、大陸で燻る民族主義的な風潮に火がつくこと・・。そうなれば、欧州ショックの発生で、ECBでなくFRBが大量のドル(流動性)を市場に供給ということになる。
しかし、域内で為替変動を気にせず人の行き来も自由という、一度手にした便利さは、それはそれで捨てがたし・・・ということのように思われる。船頭多くして船、山に上る・・・ということだし、あるいは船頭(リーダー)不在で船、山に・・・ということでもある。
さてリスク・オフで金価格はFOMC議事録前の水準に戻って1週間を終えた。ファンドのポジションも200トン強は整理された。投票結果にもよるが、英国だけで5月2日の1306ドル超えは厳しいと思われる。