亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

25日のPCE価格指数待ち  

2021年06月24日 22時29分29秒 | 金融市場の話題
引き続き金市場は、イベントを通過し、変化した環境をどう消化するかといった時間帯に移行している。より正確には、変化したのは具体的な米連邦準備理事会(FRB)の政策ではなく、現時点での会合参加者の見通しと、それを受けた市場センチメントということになる。23日は、もっぱらドルの値動きに沿いながら上下した。高値は1795.60ドルまで見たものの、1800ドル手前には売りが控え、終盤は売り直されるような形で通常取引は前日比6.00ドル高の1783.40ドルで終了ということに。

昨日、今週連日伝えられるFRB高官の発言内容は、FOMC直後でもあり、いわば開催から3週間後に発表される議事要旨の前倒し公開のような側面があるとした。

この日、アトランタ地区連銀のボスティック総裁は、米国経済が順調に回復する中、物価は予想より力強く上昇しているとし、FRBは2022年終盤に利上げに着手する必要があるとした。「最近の指標に予想外の上振れがあったため、個人的な見通しを前倒しした」としている。
興味深いのは、同総裁は同じ日のラジオ局(NPR)のインタビューでは、未だ新型コロナ前との比較で760万人もが仕事を失った状態にあることに触れ、「この指標はわれわれ全員が注視する必要がある。性急に勝利宣言する形で政策が方向転換しないようにしなければならない」と強調したこと。労働市場の改善が前提というパウエル議長などFRB中枢との共通認識を有しており、その上で利上げ前倒し方針への変更ということがわかる。

一方、ボウマンFRB理事は、足元の物価上昇は「単なる数値の問題を超えている」とした。言わんとするところは、(低調だった前年比での押し上げを意味する)ベース効果だけでなく、供給障害による需給バランスの崩れ(モノ不足、サービス不足)が乗っていることから、インフレ圧力の緩和には「幾分時間がかかる」ということのようだ。利上げ前倒し見通しに転じた人物と思われるが、そのことには明言なし。玉虫色発言で政策変更に積極的なのか否かについては、はっきりしなかった。

なお、今週に入りFRBは21日に短期金融市場から過去最大の7916憶ドルの資金を吸収していた(翌日物リバースレポ取引)。23日には8136億ドルとさらに金額は拡大。通常はMMF(マネー・マーケット・ファンド)に向かう資金が、今回のFOMCで(リバースレポ取引に)金利が生まれたことで、FRBとの取引に向けられていると思われる。それ自体は、FRBの狙い通りということだろう。状況を総合的に捉えるに、ゼロ金利政策で運用難に陥っているとみられるMMF救済という側面があると思う。おそらく1兆ドル突破は近いと思われる。

足元の焦点は予想を超えるインフレということのなで、明日25日に発表される、個人消費支出(PCE)物価指数に注目が集まっている。
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