米財政論議の膠着状態は、世論の状況を睨んで妥協をするそぶりを見せる共和党に対し、本来ならば歩み寄って落としどころを探るはずの民主党は、これまた世論の風向きに意を強くしてチャンスとばかりに突っ張る姿勢。双方のスタンスが合意を遠ざける。まさにポピュリズム。
日本が3連休中の週末を挟んだNY市場の金価格は、不安定な値動きを続けることになった。金曜日のNYの取引時間帯早々には、再び投機的な大量の売りが見られ、1分間で15ドルほどのフラッシュ・クラッシュ(瞬間的な下げ)に見舞われNYコメックス(の電子取引)の金価格は10秒間の中断(サーキット・ブレイク)を挟むなど荒れた展開となった。結局この下げが、他のファンドのプログラム売りを引き出し大幅安につながることになった。こうなると、米国での財政協議の進展度合いの影響よりも、テクニカル要因が目先の値動きを左右することになる。
先週は下院共和党主導の短期的な(6週間とされた)債務上限超過容認プランが出され、合意が近いと報じられた。しかし、結局オバマ大統領が拒否したことで、流れた。週末返上の接触もまとまらず政府機関の閉鎖は3週目に入ることになった。引きずるほどにFRBの政策判断に影響を与える。
週明けは、上院から妥協の糸口を探し始める展開。これは、ねじれ議会誕生後のいつものパターン。日本時間15日の早朝の時点でメディアが伝えるところでは、少なくとも来年2月15日までの債務上限の引き上げを認め、さらに政府機関閉鎖解消のための暫定措置を検討する方向で話し合いが進んでいると。仮に合意に至ったとしても、おそらく下院共和党はそのまま受け入れることは考えにくく、独自案を提出ということか。こうしながら、皆が“きっと回避される”と思ってきたデューデイが迫り、何のことはない市場参加者自身もチキンレースに参加していたことに気付くことになりそうだ。かかる状況を格付け会社は、どう処理するのだろう。