先週末3月15日のNY金は続落した。前日比6.0ドル安の2161.50ドルで終了。
週間ベースでは24.00ドル、1.1%安で4週間ぶりの反落となった。
前日までに発表された2月の米消費者物価指数(CPI)などの主要な米物価指標が相次いでインフレ圧力の根強さを示し、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ後ずれ観測が拡大する中、売られた。 債券相場が5営業日続落し2月下旬以来の水準に上昇。終値では4.318%と週間の上昇幅は0.238%となり、2023年10月以来、約5カ月ぶりの大きさとなった。長期金利の上昇を映しドルが主要通貨に対し買われドル指数は103.432で終了。週間では0.7%高と1月中旬以降で最大の上昇率となった。
FRBは今週開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きを決める。市場の注目は3カ月に1度発表されるメンバーによる経済予測に向けられている。市場の一部には想定よりも利下げが遅くなり、年内の利下げ幅も縮小するとの見方が出ている。
つまり、再び2月中旬に見られたFRBに対するタカ派的な観測が市場を支配する環境に戻っている。
先週の金市場で目に付いたのは、15日に金ETF(上場投資信託)の最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」の残高が1日で14.98トンと大幅に増加したこと。規模としては2022年3月2日の21.2トン以来の大幅増加となった。
金ETF全体の残高は、月間ベースで2月末まで9カ月連続で減少中で、この間に350.4トン減っている(ワールド・ゴールド・カウンシル調べ)。 減少は欧米投資家の売り(アジアその他は買い越し)で占めており、売却された金地金が保管場所のロンドンから空輸され精錬所のあるスイス経由で中国やインドなどに引き取られている状況を2月28日に「西から東へ 空飛ぶゴールド」として取り上げた。
果たして15日の(北米の買いを意味する)「SPDRゴールド・シェア」残高の大幅増加の背景は何なのか?史上最高値圏、しかもFRBの利下げ観測が着手時期の後送り見通し、および回数の低下見通しが高まっている観測だけに、話題性は高まる。
ファミリーオフィスと呼ばれる超富裕層の個別ファンド独自の判断なのか、政府がらみの隠れた買いなのか、いろいろ憶測は膨らむ。
今年も、この手の裏を取るのが難しい得体のしれぬ買いが増えそうだ。