亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

注目は金融経済から政治マターに

2018年10月01日 23時18分39秒 | 金市場
先週末は、イタリア財政への警戒から全面安状態となった欧州株をよそに米国株に目立った動きのない中で、金市場は終盤に向けてプラス圏を維持し、そのまま終了となっていた。NY金は、前日比8.80ドル高の1196.20ドルで終了した。しかし、月間ベースで9月も下落となり、これで6ヵ月連続の下げとなる。月足で半年間上昇が見られない状況は、1997年1月以来のこと。先週末の引け後に発表されたCFTC(米商品先物取引委員会)のデータによると、NY金先物取引におけるファンド(非商業筋)の持ち分は、2週連続でショート(空売り)が増えており、引き続き売り越し状態にある。2002年8月以来のネット・ショート状態も価格に方向感の出ないまま7週経過しており、これは手元の資料では2001年12月以来のこと。グロスで655トンものショートは、そのままとなっている。先物市場ゆえに、いずれ買い戻しで決済されるものゆえ、NY金先物市場は(内部要因として)潜在的な買い要因を抱えたまま推移していることになる。

引き続き、このショートがカバー(買い戻し)されるイベント待ちの状態だが、規模の大きなイベントはこの先、政治要因となりつつある。言うまでもなく、Brexit(英国のEU離脱)を巡る混乱なのか、米中間選挙での波乱なのか。あるいは、イランへの最終制裁の発動とそれに対するイラン側の反応がどうなるか。

Brexitに関しては、果たしてどの程度のリスクの規模なのか、実際に起きてみないとイメージしにくいという点で材料としてはやや小粒であるのは否めない。まずは今週開かれる英保守党の総会がどうなるか。メイ首相が強硬派をどう抑えるか。米中間選挙は、予備選挙が終わり、いよいよラストスパートだが、大物議員の苦戦が伝えられるなど下院は民主、上院は共和が勝利というのがマーケットの見立てとなっている。

足元でトランプ大統領が指名した最高裁判事候補のカバノー氏の承認が、当初の同氏のセクハラ疑惑から性的暴行疑惑を問う内容に質的に大きく変化し、事は最高裁判事の指名問題にとどまらず、ハリウッドに端を発する「Me too 」運動とオーバーラップし、選挙に影響を与える要素になっている。共和党陣営はもとより、トランプ政権自体がこの問題の取り扱いに慎重になり始めているのは、事態の経過から明らかだ。折しも今回の中間選挙では過去最高の256人の女性候補が予備選を勝ち抜き、11月の本選に臨んでいる。ホワイトハウスや共和党の対応いかんによっては、民主党の女性候補への浮動票の雪崩れ現象も起きかねない状況とされる。

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