亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

戻りの循環に入っている株式市場と踊り場にさしかかった金市場

2016年03月14日 22時46分34秒 | 金市場

先週末金曜日からのリスク・オンの環境が本日のアジアからロンドンの時間帯を通じて続いている。欧州株は高寄りするような状況にある。株式市場は戻りの時間帯に入っており、こうなると、やはり大丈夫だ・・・・と強気が増えてくるのはいつも繰り返されること。今回は、どこまで行ける(戻れる)かという問題。

今週は今日から始まった日銀の政策決定会合にメイン・イベントのFOMC(連邦公開市場委員会)が控える。この1ヵ月ほど米国関連の指標に(水準自体は低くても)方向性で改善、上昇を示すものが増えているのは事実であり、こうなると小さくなっていた米国の利上げ観測がまた頭をもたげてくる。実際、米国の長期金利も2月中旬には1.6%台まで下げていたが、ここにきて2%に接近してきている。

それでも今回のFOMCでは利上げは出来まい。敢えて波乱のきっかけを作ったり、波乱を起こすことは考えないわけで、利上げというサプライズには市場はネガティブに反応するわけで、やらないと思われる。センチメントを誘導することで、ここまで持ち上げてきた手法ゆえに、センチメントを無視することも出来ないわけだ。米国に限らず、この辺りが足元の金融政策のネックでもあると思う。

先週末はIEA(国際エネルギー機関)が月報で原油に底入れの兆しありとしたとかで、WTI原油など40ドルに接近したりしたのもリスク・オフ気運を高めたようだ。しかし、このタイミングで原油を支えたい何かがあるのだろうか・・・と思ってしまった。IEAがどう言おうと当面需給バランスが崩れた状態は変わらないわけで、ショートが膨らんだ原油市場はこうしたニュースに反応してショート・カバーで戻しはするが、本格上昇には遠いと思われる。つまり原油の戻りに誘導される株の戻りも限界があろう。

金市場の方は先週末金曜日のアジアの初っ端の取引の薄いところで直近の高値を更新し1287.80ドルまで見た。昨年末に当方が想定した価格が、“うまく行って1300ドル手前で1307ドルは抜けないのではないか”とした水準が実現ということになった。先物市場ではかなりロングが増えており、内部要因としては重くなってきているのは事実。一般的には、今週の利上げ見送りで一段落ということになる。複合的な材料でここまで来たが、やはり中心に座っているのが“3月利上げなし” であり、それが現実のものとなることで一段落というわけだ。問題は、FOMCでの金利水準の見通しとイエレン議長の記者会見の内容ということになる。

相場展開としてはいわゆる“踊り場”に差し掛かったという段階か。金市場はロング増加の中で、いわゆる回転を利せて、ここまで水準を切り上げてきたのも事実で適当な押し目を作りながら延長戦に至ると思うが、どの程度の押し目を作るか否かというところ。


先週土曜日の投資戦略セミナー、午前の時間帯にもかかわらず参加いただいた皆様、ありがとうございました。


以下、当日の写真です。
















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