亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

プラチナ価格の乱高下

2006年11月22日 23時56分29秒 | 金融市場の話題
プラチナの借り入れレートは瞬間的に1ヵ月もので120%(報道によっては200%も)まで駆け上り、市場は(とりわけ売り方は)パニックに陥った。いまは25%程度の表示になっているが、それでも高い。オプションにからむ取引で起きたと伝えられている。要は小さなプラチナ市場での仕手戦の結果ということ。上げも下げも劇的で、先物市場での買い建て玉は数十分後には追証発生というまさに“鉄火場”。もともと投資のABCを教える教科書には、プラチナは金や銀に比べ市場規模が小さく、乱高下しやすいのが特徴とある。その極端な例が今回出てしまったということ。こうした値動きを見せられると確かに投資対象として見る場合、一般にはまだ価格が安定している金のほうがふさわしいということになる。相変わらずプラチナETFの導入を囃す向きがいるのだが、当事者と目されたバークレイ・グローバル・インベスターズはそうした計画や申請の事実はないことを公表したが、市場ではバークレイによる玉集めの噂が根強かった。今回のようにプラチナのような小さな市場では、思惑に誘導されただけでも価格変動も大きくなりがちであるということを押さえておこう。

ただし以前軽く触れたことがあるが、日本国政府はハイテク分野を中心に生産や新製品開発にからみ希少金属(レアメタル)の確保が将来的に難しくなるという見込みの元に、いくつかの金属の備蓄を進めようとしているのだが、その中にプラチナも入っている。プラチナはもやはレアメタルというわけだ。今後も自動車排ガス浄化の触媒素材としての需要は増えると思われることから、長期的には強気してイイのだろうが、目先の相場はそんなことはお構いなし、ということになる。値鞘だけ取れればイイという動きの中では、そうした方針は吹き飛ばされてしまうということ。アンタッチャブルな市場ということになる。さわらぬ神に祟りなし。

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