金価格も値位置(価格水準)が高いため、売りに傾くと下げに対する警戒感が台頭し急速に値を消しがちだ。昨夜もそういった感じで1514.60ドルまで安値をみたが、米1-3月期GDP改定値や失業保険申請件数など経済指標が悪かったことから買い戻され、下げ幅は縮小した。
GDP改定値だが、市場予想+2.2%のところ結果は+1.8%で先月発表の速報値と変わらず。個人消費が速報の+2.7%から+2.2%に下方修正されたのが、設備投資の上方修正を打ち消した。経済の7割を占める部分につき影響は大きい。ガソリン価格の上昇が個人消費の抑制要因とされる。これは懸念されていたこと。中東・北アフリカ情勢の余波でもある。
部門別で落ち込みが目立つのは政府部門の支出で-5.1%となっていた。緊縮財政の影響が現れたもので、この中でFRBは6月に量的緩和策第2弾(いわゆるQE2)を止めることになるわけだ。さぁ、どうなる・・・ということ。他にも住宅投資が-3.3%と引き続き低迷。やはり減速傾向が強まりつつある。FRBにとっても(またまた)誤算ということになるのでは、ないか。もちろん、まだ強気は多い。
失業保険申請件数も悪かった。雇用統計とのからみで過去数ヵ月注目度が上がっているデータだが、市場予想40万4000件のところ結果は42万4000件。雇用改善の目安とされる40万件を7週連続で上回った。ここでも財政が影を落とす。財政悪化で州政府や地方自治体の人員削減の影響が出ているとされる。
ユーロ圏ではユーロ圏財務相会合のユンケル議長(ルクセンブルク首相)が、IMFがギリシャ向け支援供与を保留する可能性があるとの見通しを発表し市場に動揺が走った。というのも、ちょうど1年前ギリシャ支援が決まった際に、2012年には市場からの自力調達が可能との判断の下で内容が決められた経緯がある。ところが、その後のギリシャの赤字削減は思うように進まず、信用低下から国債は売られている。最近もギリシャ格下げが相次いだ。つまり、とても来年には立ち直るとは言えない状況となっている。こうした中ではIMFは再支援に乗れないだろうというもの。IMF、EU、ECB(欧州中央銀行)の三者は、来週、ギリシャの赤字削減の進捗状況を評価するとされている。結果によっては、波乱がありそうだ。
ところで元ECBのチーフ・エコノミストのドイツのオットマー・イッシングという人がいるのだが「ギリシャに関しては、問題は流動性ではなく支払い能力だ」と述べたと報じられている。
この人は確かかつてドイツ連銀の理事だったと記憶しているが、この発言は正しいと思う。基本的に資金の融通をギリシャにしても、それはいわゆる「追い貸し」であって、返済能力に問題がある以上時間稼ぎに過ぎず解決しないということ。今のままでは、抜本的な赤字解消の道筋が見えないまま、時間が経過することになりそうだ。
この場合、時間は静かに経過しない。市場では何らかの投資家の動きが出て、不安のある3ヵ国(ギリシャ、アイルランド、ポルトガル)さらに程度の差はあれ同じような赤字を抱えたスペインやイタリアという大国の国債までもが売られるという可能性が出てくる・・・って既に出始めているか。いやいや、まだまだ。
いずれにしても金が選ばれる。
戦前の高橋大臣の施策がその後の増刷を招いたとも考えています。
戦前、私の父は割り当てとして国債を買っていました。その国債は戦後償還されました。父がいうには償還金で5球スーパーラジオの修理代にしかならなかったという話でした。5球スーパーラジオといっても分かりますかね。
日銀は金融秩序、財政秩序を重んじていますが立場としては当たり前です。一端解禁したら歯止めがかからないと思っているようです。