亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

国防長官辞任

2006年11月09日 16時49分38秒 | 金市場
現在14時35分だが、米上院で未決で残っていた2議席がともに民主党で決ったと伝えられている。最後に残っていたバージニア州は民主党ウェッブ候補が共和党アレン候補を(AP通信の伝える直近のデータでは)7236票差をつけ、ほぼ当確が確定という話。それぞれ117万票台、116万票台の獲得につき、7千票は僅差となることから負けた候補者は票の再集計を申し出ることが出来るとのことだが、このまま確定しそうな雲行きとなっている。下院を合わせ名実共に民主党が勝利ということになる。まさにlandslide(大勝利)といえる。昨日ここで「・・・・(前略)その前に国防長官(ラムズフェルド)とか副大統領(チェイニー)などが辞任する形でイラク問題に一定の線引きをするのか、そのまま突き進むのかという選択になりそう」としたが、今朝起きてニュースを見て驚いた。国防長官の辞任(force to resignつまり更迭だろう)が発表されていたからだ。驚いたのは、間髪をおかずに発表されたことに対してである。これだけ手際よく事が進むのは、いくつか事前に用意された選択肢のなかのひとつということだろう。米軍内部でも以前から同長官に対する不満は多く、選挙戦終盤には共和党内からも辞任要求が出ていたとされるが大統領は一貫して替えない旨を公言していた。それをあっさり引き下げさせるほどのインパクトのある結果ということ。もちろんこれでイラク情勢は片付かない。

このブログでは、イラク情勢について再三触れてきたが、「イラクの誤算は米国財政の誤算」の前に政権の土台を揺るがした。当方に言わせれば、これでも2年ほど遅いということになる。引くに引けないイラク。米国が介入することでシーア派優勢の政府がイラクにできて、しかもシーア派大国のイランにプレッシャーを掛けているのが米国自身で・・・、イランが核武装などということはイスラエルはとてもじゃないが容認できなくて、でも自ら動くことは出来ず米国に期待する。その中で米国サイドは膠着状態のなか日々、戦費を垂れ流し戦死者、戦傷者の数を増やす(そのウラで1ヵ月千数百人のイラク一般市民の犠牲者)。それでも選挙に負けたからといって、ブッシュ政権が兵を引くことは考えられない。イラクの混乱に輪を掛けるばかりでなく、中東を国際情勢の火薬庫のような地域にしてしまうからだ。その先は割愛するとして、結局は民主党が議会の主導権を握ろうが引くに引けない状況は変わらない。むしろ変わるのはイランや武装勢力のほうで、米国サイドにいわば“弱み”ができたわけで、外交面であるいは軍事面で「攻勢」というと語弊がありそうだが、仕掛け的な動きが出てきそうだ。

日本時間の今夜は9月の米貿易統計。赤字の規模は原油価格の下落で小さくなっていると見られるが果してどの程度の規模に収まるのか。いままで軽視されていたものまで環境の変化で材料視されるということも今後は考えられる。金市場は利益確定の動き。選挙結果はその切っ掛けのひとつ。ETFの増加が続いている。NY、SGX(シンガポール)相互上場分のStreetTRACKSだけで11月に入り6営業日で20トン強の増加。NYコメックス先物取引にも異変あり。地殻変動のような動き。それでも地鳴りが聞こえるほどでもない。

書き始めてから中断し、再開して書き上げたら16時過ぎていた。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 続・米中間選挙 | トップ | 周小川中国人民銀行総裁発言 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事