さて今週は言うまでもなく米雇用統計の発表週。その前にまたまた物価上昇が1%以下(12月前年同月比0.7%)に沈んだECBの定例理事会も予定されている。今夜は日本時間0時にISM製造業景況指数の発表。明日の同じ時間に同じくISM非製造業景況指数の発表。新興国を中心とした不安定な金融環境が続く中で、足元の状況を落ち着かせるためには米国関連の景気指標に力強さを感じさせるものが必要だし、先週のFOMCの決定を正当化することにもなろう。
今週7日発表の1月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数(NFP)は前月の速報値7万4000人から大きく増え18万8000人の増加予想となっている(ダウ・ジョーンズ)。12月のデータは大雪という天候要因による一過性のものとの判断が定着しており、それがどの程度のものかということも、今回のデータで示されることになりそうだ。今回は年次の基準値となる2013年3月の数値改訂に伴って、ここまでの数値を修正する予定とされるので比較が難しくなりそうだ。
その中で特殊要因が関係することで“振れ”が大きくなりそうなのが失業率。前回は雇用増が大きく予想を下回る中で、6.7%と7.0%の市場予想を上回る低下を見せた失業率だが、職探しを諦める人が増えた結果(労働参加率の低下)という見方が定着している。実は1月もこの傾向が続くのではとされている。
理由は、昨年末12月28日に連邦政府による長期失業者向け給付制度が失効したこと。今回の景気後退時の対応策のひとつとして州政府が管轄する失業保険の給付期間が終了した後も、連邦政府が最長47週の給付の延長を行ってきた。今回、民主党と共和党の予算協議の中で、法案延長が話し合われることなく終了を迎えることになった。140万人近い人々への給付が終了したとされる(週に平均300ドルの給付とされる)。注目されているのは、打ち切られた人々の中で職探しを諦める人が増えるのではないかということ。あるいは希望する給与の水準の仕事探しをあきらめ、とにかく給与レベルを落としても仕事(収入)を確保する人が増えるのではということ。見通しとしては、前者が増えるのではというのが市場の予想となっているのだが、いずれにしても失業率はさらに下がる可能性がある。
ここまでのバーナンキ前議長の発言内容からは、失業率の改善は内容を精査してということになっているので、ターゲットにしている6.5%になったからといって手放しに評価ということはあり得ないのだが、下がっているのは事実であって市場の方は評価したがるのだろう。