たまには、ルーティーンの市況を掲載してみることに。
以下、本文。
週明け2月3日のNY市場の金価格は大幅反発となった。一時は沈静化するかに見えたアルゼンチン発で始まった新興国市場の動揺が、先週後半に再燃。週明けの2月3日には米国指標の悪化が市場の不安心理をかき立てるような形でNY株式が大幅安になる中で、逆に金価格は大幅反発となった。NYコメックスの先物価格は、前日比20.10ドル高の1259.90ドルで通常の取引を終了した。
週明け3日の市場環境は、アジアの取引時間帯は日本株の大幅安など安定しない金融市場の状況を反映する形で先週末の弱い地合いから抜け出すようなかたちで(週末の終値比較でプラス圏となる)1240ドル台半ばで推移。中国が春節で休日入りしていることもありこの段階では静かな展開となった。動きが出始めたのはロンドンの時間帯に入ってからのこと。金融市場全般の警戒ムードを映す形で金価格はジワジワと上昇し、NYの通常取引に入る頃には1240ドル台後半まで歩みを進めていた。
動きのあったのは、現地午前10時(日本時間24時)の(全米の製造業の景況をカバーする)ISM製造業景況指数の発表以降のこと。結果判明と共に金市場では瞬時に大量の買い注文が出され10ドル以上値が飛んだのは、このところ広く知られるようになったロボット・トレーディング(コンピューターによるプログラム売買)によるものと見られた。
そのプログラムをヒットさせた(スィッチを入れた)のが、ISM製造業景況指数の前月の56.5から51.3への低下だった。市場予想の中心値56を大きく下回るとともに昨年5月以来の低水準となったこと。項目別では前月の64.4から51.2へと13.2ポイントも急低下した新規受注が全体の印象を悪くした。落ち込み幅が1980年12月以降で最大となったこともある。ちなみに項目のひとつ雇用指数も1年半ぶりの高水準となった12月の55.8から52.3に低下し、こちらは昨年6月以来の水準となっている。
ISM製造業景況指数の悪化については、実は予想されていなかったわけではない。というのも北米を襲った寒波の影響から自動車や住宅などの販売の落ち込みが予想され、同様に産業界の活動も落ちている可能性が考えられたからだ。したがって、一過性の落ち込みというと前回の雇用統計にもつながるが、このデータも天候要因によるイレギュラーなものという解釈もある。ただし、足元で新興国市場の動揺が主要国にも波及しそうな環境のなかで、それを跳ね返すような米国の指標の力強さを市場は求めているし、そのことが同時に先週のFOMCの決定(量的緩和策の連続縮小)を正当化することにもなろう。
つまり、そうした期待にそぐわない落ち込みが、いまだ「拡大」を意味するISM指数の50ポイント超えにも関わらず、NY株が全面安に売り込まれた背景にあると思われる。逆に金市場では、ファンドのプログラム買いがヒットすることになった。米国債にも逃避資金が入り、価格は上昇し利回りは3ヵ月ぶりとなる2.5%台まで下げている。

リスクオフで逃避資金が米国債に入るのと軌を一にする形で金市場でも買いが見られ、懸念が緩むと売りという感じです。
ただし、金のほうは「買い」の中身がショート・カバー主導であって逃避資金の流入もありますが、それよりもベア派がポジションを閉じている「買い」ということです。これが積極的に資金を振り向け始めると、力強さがでてきますが。。