5月29日のNY金は反落した。
米財務省による国債の大量入札が今週に入り連日実施されており(今週中に6000億ドル超=約90兆円超)、需給悪化懸念から利回りが上昇。この日も基準となる10年債利回りは約4週間ぶりの高水準に上昇。金利裁定からNY金は売り優勢となった
。米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、発言自粛期間入りする来週を前に、米連邦準備理事会(FRB)高官によるタカ派発言が続いていることも米長期金利を押し上げている。
通常取引は、前日比15.30ドル安の2341.20ドルで終了した。 昨日ここでは、前週までの大幅下落に対する自律的反発と書いたが、戻りが一巡したことで29日は再び下落基調となった。29日の通常取引終了後の時間外でも売りが先行し2336.90ドルで時間外取引は終了した。
なおNYコメックスで取引の中心になる限月が8月物に移行することから、30日以降メディアでは8月物取引価格の表示に切り替わる。8月物価格は受け渡し期日までの金利分のプレミアムが乗ることから、現状で20ドルほど価格が切り上がっている。ちなみに29日終値は2364.10ドルだった。
29日の話題としては、米財務省の国債大量発行で需給悪化を懸念した長期金利の上昇の走りのようなものが見えたというのがあるが、それよりもジェイミー・ダイモンの「プライベートクレジット(非公開融資)にいずれ問題が生じるだろう」という発言だろう。
言わずと知れたJPモルガン・チェースのCEOだ。
プライベートクレジットとは、銀行や証券会社など金融機関以外の融資を指す。投資ファンドやヘッジファンドなどによる融資のこと。プライベートクレジット業界は、いまや1兆7000億ドル(約270兆円)にも上り活況を呈しており、JPモルガン・チェースなども乗り出し既存の貸し手からシェアを奪おうとしているようで、ダイモン発言自体が自社の利害が絡んでいる可能性は否定できない。
しかし、「とりわけリテール顧客も投資できるようになっていることもあり、『地獄を見ることになりかねない』」と警告を発したとされる。
プライベートクレジットを束ねて蘇生された金融商品が販売されていることを指していると思われるが、「業界の一部企業は『素晴らしい』が、全部がそうなのではないとし、市場における問題は往々にして「良くない」企業が引き起こすと指摘した」(ブルームバーグ)とされる。
なにやらサブプライム問題を思わせる話ではある。すぐ問題にならないとしても、頭の隅に仕舞っておくのがよかろう。