日本時間の早朝から伝えられた南ア発の新型コロナウィルス新たな変異株のニュース。変異の内容が複雑で高い感染力とみられるということで、市場は総すくみ状態となった。
ホリデーシーズン入りで商いの薄い中でのポジション巻き直しは、WTIやドル円の急落など結構な動きになっている。NY金は1800ドル超奪還は、まさにリスクオフの金買いということで、久しく下回っていたパラジウムを上抜けるか否かという水準。プラチナは急落で金との価格差を拡げていたが、買い戻されプラス圏に浮上している。値動きの軽いシルバーにしても、こうした状況下では金に置いて行かれる。
ワクチンの普及で感染しても重症化や死亡に至るケースは大きく減少、したがってwithコロナという流れができつつあったが、今回の変異種の事と次第では想定が大きく変わる。現時点でさらなる情報待ちだが、仮に米国での感染拡大などとなれば、FRBは金融政策の巻き戻しという現在取ろうとしている方針も見直しということになる。
「コロナの誤算」で政策の見直しということは、昨年の7月に起きた。
春の段階でFRBも米国財務省も、言うまでもなく(単なる風邪と言っていた)トランプ政権も夏の盛りまでには感染拡大は沈静化すると見た対応策を取っていた。失業保険の連邦政府による割増し給付や航空会社への雇用維持サポートなど緊急対応策は7月から9月ころまでで期限が切られていた。FRBによる緊急避難策の社債買取策なども期限を切っていた。ところが7月に入り、感染拡大の第2波が到来。各方面ともに政策の見直しを迫られることになった。
その際にリスクオフで米国債は買われ長期金利は低下、金が買われて一気に2011年の高値を上抜き、そのまま8月初めに2000ドルを突破し上値を追い、8月7日に2089.20ドルのザラバ(取引時間中)の過去最高値を記録した。そのきっかけが米国での新型コロナ第2波だった。
新型コロナウィルスについてもガラパゴス化したかのような日本だが、いまある平穏はどこまで続くか。東京も人口比では感染者ゼロに近いが、皆マスクを外そうとしない。この辺りは言うまでもなく欧米とは全く異なる。