亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

移動する「金」

2013年04月02日 21時15分05秒 | 金市場
このところ・・・具体的には3月21日以降、止まっていた金ETFの最大銘柄GLD(「SPDRゴールド・シェア」)に4月1日また比較的大口の解約が出た。

4.21トンの減少。ここまでの経過は1月22.73トン、2月73.6トン、3月33.23トンのいずれも減少となっていた。合計で129.56トン。これまで月間ベースで数十トンという大きな数字は増加のみだった。つまり大きな減少は価格急騰時の2011年8月や9月には日々の変動も大きくなることがあったが、今のようないわば平時としては初めてのこと。それも3月下旬に入る頃に一巡・・・・という感じだった・・・わけだ。つまり四半期が終わり、さてETFの減少も一段落というところに期が変わった1日に再びということで「まだ売るのか?」ということになった。

先日も書いたが、5月半ばのSEC(米証券取引委員会)への報告まで大口の持ち分の変化は不明だが、この銘柄の最大保有者は前回12月末まではジョン・ポールソンの67.8トン(2180万株)だった。ポールソンは、2009年3月末の時点で97.97トン(3150万株)の保有で最大保有者として顔を表し驚かせたのだが、2011年9月末には34.8トン(1120万株)の売却をしていたことが判明する。結果的には急騰時のタイミングで手放したことになった。解約準備金を作ったと見られたが、そうではなくETFを利食ってキャッシュをつくり、それを証拠金にして先物に替えたという噂もあった。もともと先のインフレを予想して金および関連するポジションの保有をしているだけに、仮にポールソンが手放しているとするなら、見通しの変更をしたことになる。そのポールソンファンドは2月はマイナス18%と伝えられたのは1ヵ月前だった。

あとは超富裕層が欧米の投資銀行のアドバイスにしたがい(・・・委任だろうが)手放し、資金シフトということもあろう。

それにしてもこの間に価格水準に大きな変化が見られないのは、これらの売り物が静かに引き取られていることを表す。一般的には欧米マネーが離れ、アジアを中心にした新興国マネーが引き取るという構図と見られる。NYコメックスのショートも徐々に減ってきているが、それでも200トンは残っている。

本日発表された欧州各国のPMI(景況指数)は軒並み悪かった。このところフランスが落ちているので独仏2強体制が崩れている。イタリア政局は、いよいよ流動的。マーケットが平穏を維持しているのは、カネ巡りに問題がないためだろう。それだけゆるゆる(過剰流動)というわけだ。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 4月に3時間、じっくり語る金... | トップ | 期待(見通し)と現実 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事