亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

金市場には心地よいブレイナード発言

2021年06月02日 21時19分23秒 | 金融市場の話題
今週は改めて言うまでもないだろうが、米国関連の主要指標の発表が続く。それ以外でも来週は、6月15~16日開催のFOMC(連邦公開市場委員会)前のブラックアウト期間で発言が制限されることから、FRB関係者の講演なりインタビュー、パネルなどを通した発言も多い。

1日はブレイナードFRB理事がNYのエコノミッククラブでの講演。この半月間に発表されたCPI(消費者物価指数)やPPI(生産者物価指数)さらに先週末のPCE(個人消費支出)物価指数などの結果を踏まえた上でもあり、自分には説得力のある内容に映った。ちなみにハト派で知られる女性理事で、4名で構成される金融政策の策定の下準備のミーティングのメンバーでもある。もともと景気の腰折れにつながる早急な引き締めへの政策転換に慎重であるべきとしてきており、今回も同様の内容だったが、現状を踏まえた内容も目立った。

「インフレについては(一時的な上昇ではなく)持続的な進展を確認することが重要だ」としたが、これはデータ重視を前面に出したFRB執行部のコンセンサスでもある。「結果に基づいたアプローチを堅持すること」が、景気に逆風が吹き始めたとしても一定の成長モメンタムを維持する上で必要なやり方だというもの。過熱の指標が出る予見にもとづいて行動するのではなく、出たことを確認して動こうというもの。

4月のCPI総合指数などインフレの「上振れに関しては、予想外の半導体不足や中古車購入需要の高まりなどが一因であって、これらは経済指標の「ノイズ」であって、この秋までには緩和されるとしている。つまり一過性だと。いずれにしてもインフレの高進は注視しているものの、
結果的に職を奪うことにつながる「先走った引き締め」はやるべきではないとしている。

先週はクラリダ、クォールズの2名の副議長が景気に過熱傾向が見られるならば、量的緩和策の段階的縮小つまりテーパリングの議論が必要という旨の発言をしていたが、これは前週の4月の議事要旨で浮上させた「検討が必要になる可能性」をフォローしたもの。その上で、今週はブレイナード発言で余程でないと始まらないからね・・と釘をさしたことになると自分は解釈している。長期金利の上昇は抑えられ、NY金は1900ドル近辺を維持ということに。

本日は6月のFOMCの基礎資料となる地区連銀経済報告書(ベージュブック)が発表される。現地14時の発表につき、NY金は時間外となるが、昨日のISM製造業景況指数にて「圧倒的多数」の企業が採用を実施もしくは目指しているものの、「50%以上の企業が人材確保に苦しんでいる」となっていたので、雇用面などで同じような内容となっているのではないかと思う。


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