注目材料の多い今週。といっても、いつもながら米国関連に限られるのだが、3連休明け1日のISM製造業景況指数に昨日2日のベージュブック(地区連銀経済報告書)まで消化した。
ISM製造業景況指数については、総合指数が2カ月ぶりの改善となったことで、米長期金利(10年債利回り)が初期反応として1.644%まで急伸したものの、その後1.60%程度に落ち着くことになった。というのも、この指標の細目の中でインフレとの関連で注目された「支払い価格」が、88と前月の89.6から予想以上に低下したことが判明。同時に「雇用」も50.9と4月の55.1から大きく低下し、拡大と縮小の境目となる50に接近するところまで低下していたことがあった。そもそもISM製造業が60後半まで切り上げたところは、ピークアウト感が強く、それゆえこのブログでも前日のタイトルをそのようなものとした。結局、この日の米債市場はそれに応じた反応となり、NY金は終盤に買い戻されることになった。
翌2日のベージュブックに関しては、NNY金にとっては、やや手強そうな内容となった。
国内経済が4月上旬から5月下旬にかけて緩やかに拡大し、前回の報告時期(2月下旬~4月上旬)よりもやや加速したという内容となった。「ワクチンの接種率の向上やソーシャルディスタンシングの緩和(活動規制解除)が経済にプラス効果をもたらしている」というのが背景。
この辺は、おっしゃるとおりです・・・という感じだ。
その一方で、(半導体不足が話題だが)サプライチェーン(供給網)の逼迫など企業がコスト増に直面しており、一段の物価上昇圧力に警戒感を示している。強い需要を背景に製造業や建設業、輸送業などの企業の多くがコスト上昇分を商品やサービス価格に転嫁しているとされ、足元で「物価上昇圧力が一段と強まっている」と指摘した。先行きについては、コスト増と価格上昇は今後数カ月続くとの見方が増えているということで、こうなるとテーパリング(量的緩和策段階的縮小)検討着手を思わせる。
それでも2日の米債市場は目立って反応せず、むしろ1.588%と1.6%割れに低下した。薄商いではあるものの、継続して買いが入っていることを表す。1900ドル台に乗ってさすがに上値の重い金だが、結局1910ドル近辺で取引を終了。オシマイ・・・と思いきや、そうはならなかった。
ここからが、本日の本題。
2日の引け後、夕刻の時間帯にFRBが新型コロナパンデミックの金融混乱時に買い取り、手持ちになっている社債と社債ETFを年内をめどに売り切るとの発表をするということが起きた。自分がこのニュースを目にしたのは、日本時間午前6時半でほぼ配信と同時だったと思う。
おお、あの話かぁと思ったが、やや内容は違うのだが、このタイミングゆえに市場ではテーパリング論議が高まるのだろうか?ということだった。その時は、グローベックスのNY金の取引も休止中で夏時間の始まりは日本時間午前7時。本日3日のNY金のアジアの取引は1910.50ドルで始まり、早い段階で1912.30ドルまで買われ、その後もアジアの午前も通過し、午後早い時間まで売り優勢ながら1900ドル超を維持していたので、材料としてはスルーされたか?と思ったのだが。この話が背景か否かは現時点で不明だが、ロンドン早朝からNY金は売りが先行する流れに転じている。
簡単に背景を書くと、昨年の金融混乱時に債券市場も機能が止まる可能性が一気に高まり、特に民間債務つまり社債の発行は元より流通市場の流動性(取引)にも懸念が高まった。折しも、債務超過に至るほど自社株買いをしていた(資金フローによもや問題が起きるとは想定していなかった)大手(ボーイングほか)など、破たんのリスクが一気に高まることになった。
そこで、FRBレスキュー隊が緊急出動することになった。これ、まさに緊急出動で、もともと社債など民間債務をFRBか買い取ることが法令上できない。そこで(法律用語だが)緊急避難条項たるところの連邦準備法13条3項を発動し、5名のFRB理事と財務長官の承認のみで社債の買取りを発表し実行したのだった。その際に3月末まで投資適格格付けを維持していて、その後不適格(投機的等級)に落ちた社債(fallen-angel、堕天使)も買い取り対象に加えるとしたのだった。
急ぎSPAC(特別目的会社)を組成しブラックロックに運営を任せ、財務省にバックアップ資金を用意してもらい、FRBがSPACに融資する形で社債と社債で構成されるETFを一気に買い取ることになった。これで一息ついた有名企業は多い。しかし、大きな器を作ったものの、買い取りの必要性は意外にも急速に低下したのだった。思うに、器を大きくしたことが安心感をもたらすことになったのだろう。まさに「信用緩和策」といえる。ドラギマジックの米国版か。
保有総額が、社債と社債ETF全体で137憶ドル(WSJ)なので、市場全体からすると分散しての売却に問題は全くないと思われるが、そこはFRB。中銀が売りに回るというのは印象が悪い。そもそもFRBは、というよりパウエル議長は昨年6月の議会証言にて、我々は“buy-and-hold buyer”で償還まで保有するつもりと言っていた経緯がある。
さてさて、今夜はADP全米雇用報告に失業保険新規申請件数が注目だったが、この件はどのように作用するのか、あるいはスルーされるのか。
ISM製造業景況指数については、総合指数が2カ月ぶりの改善となったことで、米長期金利(10年債利回り)が初期反応として1.644%まで急伸したものの、その後1.60%程度に落ち着くことになった。というのも、この指標の細目の中でインフレとの関連で注目された「支払い価格」が、88と前月の89.6から予想以上に低下したことが判明。同時に「雇用」も50.9と4月の55.1から大きく低下し、拡大と縮小の境目となる50に接近するところまで低下していたことがあった。そもそもISM製造業が60後半まで切り上げたところは、ピークアウト感が強く、それゆえこのブログでも前日のタイトルをそのようなものとした。結局、この日の米債市場はそれに応じた反応となり、NY金は終盤に買い戻されることになった。
翌2日のベージュブックに関しては、NNY金にとっては、やや手強そうな内容となった。
国内経済が4月上旬から5月下旬にかけて緩やかに拡大し、前回の報告時期(2月下旬~4月上旬)よりもやや加速したという内容となった。「ワクチンの接種率の向上やソーシャルディスタンシングの緩和(活動規制解除)が経済にプラス効果をもたらしている」というのが背景。
この辺は、おっしゃるとおりです・・・という感じだ。
その一方で、(半導体不足が話題だが)サプライチェーン(供給網)の逼迫など企業がコスト増に直面しており、一段の物価上昇圧力に警戒感を示している。強い需要を背景に製造業や建設業、輸送業などの企業の多くがコスト上昇分を商品やサービス価格に転嫁しているとされ、足元で「物価上昇圧力が一段と強まっている」と指摘した。先行きについては、コスト増と価格上昇は今後数カ月続くとの見方が増えているということで、こうなるとテーパリング(量的緩和策段階的縮小)検討着手を思わせる。
それでも2日の米債市場は目立って反応せず、むしろ1.588%と1.6%割れに低下した。薄商いではあるものの、継続して買いが入っていることを表す。1900ドル台に乗ってさすがに上値の重い金だが、結局1910ドル近辺で取引を終了。オシマイ・・・と思いきや、そうはならなかった。
ここからが、本日の本題。
2日の引け後、夕刻の時間帯にFRBが新型コロナパンデミックの金融混乱時に買い取り、手持ちになっている社債と社債ETFを年内をめどに売り切るとの発表をするということが起きた。自分がこのニュースを目にしたのは、日本時間午前6時半でほぼ配信と同時だったと思う。
おお、あの話かぁと思ったが、やや内容は違うのだが、このタイミングゆえに市場ではテーパリング論議が高まるのだろうか?ということだった。その時は、グローベックスのNY金の取引も休止中で夏時間の始まりは日本時間午前7時。本日3日のNY金のアジアの取引は1910.50ドルで始まり、早い段階で1912.30ドルまで買われ、その後もアジアの午前も通過し、午後早い時間まで売り優勢ながら1900ドル超を維持していたので、材料としてはスルーされたか?と思ったのだが。この話が背景か否かは現時点で不明だが、ロンドン早朝からNY金は売りが先行する流れに転じている。
簡単に背景を書くと、昨年の金融混乱時に債券市場も機能が止まる可能性が一気に高まり、特に民間債務つまり社債の発行は元より流通市場の流動性(取引)にも懸念が高まった。折しも、債務超過に至るほど自社株買いをしていた(資金フローによもや問題が起きるとは想定していなかった)大手(ボーイングほか)など、破たんのリスクが一気に高まることになった。
そこで、FRBレスキュー隊が緊急出動することになった。これ、まさに緊急出動で、もともと社債など民間債務をFRBか買い取ることが法令上できない。そこで(法律用語だが)緊急避難条項たるところの連邦準備法13条3項を発動し、5名のFRB理事と財務長官の承認のみで社債の買取りを発表し実行したのだった。その際に3月末まで投資適格格付けを維持していて、その後不適格(投機的等級)に落ちた社債(fallen-angel、堕天使)も買い取り対象に加えるとしたのだった。
急ぎSPAC(特別目的会社)を組成しブラックロックに運営を任せ、財務省にバックアップ資金を用意してもらい、FRBがSPACに融資する形で社債と社債で構成されるETFを一気に買い取ることになった。これで一息ついた有名企業は多い。しかし、大きな器を作ったものの、買い取りの必要性は意外にも急速に低下したのだった。思うに、器を大きくしたことが安心感をもたらすことになったのだろう。まさに「信用緩和策」といえる。ドラギマジックの米国版か。
保有総額が、社債と社債ETF全体で137憶ドル(WSJ)なので、市場全体からすると分散しての売却に問題は全くないと思われるが、そこはFRB。中銀が売りに回るというのは印象が悪い。そもそもFRBは、というよりパウエル議長は昨年6月の議会証言にて、我々は“buy-and-hold buyer”で償還まで保有するつもりと言っていた経緯がある。
さてさて、今夜はADP全米雇用報告に失業保険新規申請件数が注目だったが、この件はどのように作用するのか、あるいはスルーされるのか。