昨日は冒頭でドル円の値動きが荒くなっていることから、国内金価格への影響が大きくなることで要注意として以下のように書いた。
「NY金の値動きも荒いが、昨年来ドル円の動きも荒く、現物ならまだしもJPX金などレバレッジを利かせた取引は、(言うまでもないが)リスク管理が重要となる。再び1万円の価格は見ると思うが、それまで持ちこたえられないようなディール(取引)ではまずいわけで、これまでがイケイケだっただけに要注意。好事魔多し」とした。
さっそく思わぬタイミングで大波乱となった。 ドル円に関しては「動けぬ日銀」に対し、好調伝えられる米国経済を背景に「引き締め策の長期化(higher for longer)を吹聴してきたFRB」という構図から安心しきってドル買いに傾き小幅な値動きに始終していただけに、いったん動き始めれば動きは大きくなるという相場の習性に沿ったものということか。
対ドルのみならず、ここまでの円安については、国内金価格の動向を追うためには必然的に円安動向は把握する必要があり、ドル円のみならず他通貨に対しても一応目配りしてきた。
ドル建て金価格が横ばいでも最高値を更新する国内金については円の劣化の表れと表現もした。ただし、その一方で10月以降のセミナーやメディアでの発言、また原稿などでは、目先は円安バブルではないかとも指摘してきた。
というのも、9月21日に国際決済銀行(BIS)が発表したレポートにて、日本円の実質実効為替レートは1970年8月の水準を下回っているとしているのを読んだことによる。1970年8月とは、かのニクソンショックの1年前で当時は1ドル=360円時代。いくら何でもそれほど日本は悪くないということで、こうした極端な内容のレポートが出ること自体が、相場としていいところに来ているのではと、このレポートを取り上げて語ってきた経緯がある。ここでも告知した自前のオンラインセミナーでも取り上げた。
7日のNY時間の昼過ぎには、米10年債利回りが前日の3カ月ぶり安値に並ぶ4.103%まで下げていたこともあり、ファンドの事前プログラム(アルゴリズム)がヒットしドル売りが膨らみ瞬間的に141円台を付けたとみられる。日本取引所傘下大阪取引所の金先物価格(JPX金)は、その際に9279円まで売られ、これが安値となった。
NY金の2040ドル割れとドル円相場141円台が重なり急落した。週初4日には一時10028円の史上最高値を記録しており、NY金の上下動に円高が加わり期せずして大荒れの週となった。
国内金は相場が落ち着くのを待つ必要があるが、押し目買いのゾーンに入っていると思う。