亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

政治学的リスク浮上の時間帯に

2019年05月07日 20時24分18秒 | トピック
風雲急を告げる米中情勢。一般的にはブラフであって相手方(中国)が苦しい立場であることをついた交渉戦術とみられるが、中国側がどう出るか。8日からの交渉開始が1日遅れとなり、9日から2日間の予定に変更し話し合いは継続ということに落ち着くようだ。急落状態で注目された上海株だが、今日は小反発で終了となった。笑ってしまうのは、中国外務省の報道官も、米国側の発言は「その気質から察するに話し合いのプロセス」としたとされる(日本時間5月7日夕刻、ロイター)。つまり、ブラフと見ているというわけだ。ならば中国はどう出る?

しかし、追加関税の実行については、本日告知されと伝わっている。大統領がツイートした通り10日から実行に移されるとされる。以前も書いたが、貿易赤字問題と構造協議を同時進行でやっているので、合意は難しい。今回は米国側もある種の賭けに出たということか。繰り返しになるが、中国側の出方次第でマーケットの有り様は大きく異なることになりそうだ。仮に中国側の譲歩を引き出し合意がなったとしても、米中対立の構図が大きく前面に押し出されることになったエポックメイキングなイベントということになる。

1989年に東西冷戦終了の象徴的イベントとして「ベルリンの壁の崩壊」があるが、そのちょうど30年後の2019年に米中冷戦が本格化し、以後の世界がこの対立の構図の影響を受けながら進展するということに。もっともかつての米ソ冷戦が、世界を東西に2分して対立したが、それほどの威力はない。米国としては、今のうちに叩いておこうということだが。

今月は欧州ではEU議会選挙がある。右翼政党が連携をとってそれぞれ議席を伸ばそうとしており、やはり勢力を伸ばしそうだ。フランスの旧国民戦線、今は国民連合のルペン党首がベルギーにてスピーチしている映像を今朝の国際ニュースで目にしたが、ベルギーにはトランプの元首席戦略官スティーブン・バノンがここを欧州活動の根拠地にしているところ。イタリアでポピュリズム政党「五つ星運動」と連立を組む極右「北部同盟」サルビーニ書記長(現イタリア副首相)あたりを核にした連携を図っているとされる。日本が連休中に総選挙があったスペインでも、極右政党Voxが躍進し始めて議席を獲得している。これまで中道左派・右派で引っ張ってきたEU議会も勢力図が変わり、まとまりが欠ける状況が生まれそうだ。

つまり地政学的リスクが、ゴルディロックス(適温経済)だ何だと浮かれているうちに、知らず知らずのうちに高まっている。今に始まったわけでは、ないけれど。もちろん米中もその範囲。また政治学的リスク浮上の時間帯に入っている。

明日は、ラジオNIKKEI 夕刻18時からの生放送、「マーケット・トレンド」です。


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