亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

法解釈と緊急避難のせめぎ合い

2009年06月09日 18時31分16秒 | トピック
クライスラーの破たん手続きについて、インディアナ州の年金基金などが異議を申し立てているという話を先週見て、オヤッ!と思っていた。というのもGMの破綻処理について7月10日までに新会社(新生GM)への資産譲渡が進まないと政府支援は見送りという条項が破産法申請後に明らかになっており、時間との勝負であって、これはもしかしたら・・・と思っていたからだ。本日6月9日付の日経夕刊でも取り上げているが、順調に進んでいたクライスラーの再建計画が裁判所の判断でにわかに陰りが出てきた。

異議申し立てのなかに、政府が本来は金融安定化法の枠組みで準備した資金をクライスラーに供与した件が盛り込まれており「権限逸脱」との申し立てがあるという。この件は、多くの人がそう思ってきたのではなかろうか。自動車産業の救済に資金を使うには、“超”拡大解釈というより時のポールソン前財務長官が緊急避難で使ってしまったという性格が強かったように思う。

最高裁判所がどのような判断を下すのか大いに興味あり。というのも、ここまでの金融処理を含め、その多くが「緊急避難」のもとドンドン処理が進められてきており、またそうすることが公の秩序と利益に適うとされてきた経緯がある。いまや「緊急避難」の多くは常態化したものも多いと言ってもいいだろう。それが現実的な対応で、止む追えない措置だったと思う。しかし、法律の解釈はそれほど柔軟ではないのも事実。そのあたりの判断がどうなるのか。いまの米最高裁はブッシュ政権の指名に基づく判事が多かったのではなかったか?有担保債務についてはGMの場合は、全額弁済になったのでOKとはいうものの、政府主導で進めてきた処理に対し議会側の不満も大きいとされている。

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1 コメント

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Unknown (ささやか)
2009-06-10 08:16:05
世界経済が救われるまでカネをばら撒き続ける事などとても出来る訳がないと思ってました。やはりね。
少しでも明るくなると「ばら撒くのはちょっと待て」という状況も現れる。それに、ばら撒いても有効利用されるとは限らない、ムダ金になる事もあるとしたら…借金の山が残った日本のようになりたくない、そんなアメリカ人の気持ちはわかるけど…日本人だってこんな状況になりたくてなった訳じゃない。
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