前週以来、発表されている米経済指標に悪化の傾向を示唆するものが増え、株式市場を中心に警戒感が高まっていた。
その中で通常より注目度が上がっていたのが25日発表の2月の米消費者信頼感指数だった。結果は2021年8月以来の大幅な落ち込みとなり、個人消費が経済全体の7割を占める米国経済だけに消費マインドの冷え込みにつながると景気悪化が鮮明になることから、金融市場は敏感に反応した。
リスク回避の動きが高まり、米国債に買いが集まり利回りは低下、合わせてドルは売られ主要通貨に対し値下がりした。
その中で2月に入り前日まで8回最高値を更新していたNY金には、利益確定というよりはむしろ現金化の売りが膨らみ、急速に水準を切り下げた。NYコメックスの通常取引は、前日比44.40ドル安の2918.80ドルで終了した。反落ということに。
25日米調査会社コンファレンス・ボードが発表した2月の消費者信頼感指数は、98.3と、市場予想(102.5)を下回り前月から7ポイント低下した。低下幅は2021年8月以来、3年半ぶりの大きさで指数の低下は3カ月連続となる。トランプ政権が掲げる関税措置による物価上昇を懸念し、向こう1年のインフレ期待は前月の5.2%から6%へ急上昇し、23年5月以来の高水準となった。今後1年以内の景気後退を予測する消費者の割合は9カ月ぶりの高水準となった。
ここまで不振が続く世界経済にあって、例外的に好調を維持して来たのが米国経済だった。
その中で前々週2月14日に発表された1月の小売売上高が前月比0.9%減少した。市場予想は0.1%減だった。2023年3月以来の大きな減少だったが、異例の寒波やカリフォルニア州で発生した大規模な山火事の影響が指摘された。それでも売上高の落ち込みが広範囲に及んだことで2025年1~3月期の初めに米経済が急激に減速した可能性が懸念された。
こうした伏線があったところに先週末21日に発表されたS&Pグローバルの2月の米PMI(購買担当者景気指数、速報値)や米ミシガン大学の2月の米消費者態度指数(確報値)も25年に入って以降の米経済の減速を示唆したことから、先週末の米国株式市場は主要3指数ともに大きく売られていた。
こうした状況の中でのコンファレンス・ボードの消費者信頼感指数の結果は、冒頭で触れたようにリスクオフ(リスク資産回)を促すものとなった。
米国債が買われ10年債利回りは一時4.287%と、2024年12月中旬以来およそ2カ月半ぶりの低水準まで低下した。主要通貨に対するドル指数(DXY)は一時106.189と前日24日の2カ月ぶりの安値となる106.12に接近し106.3で終了した。最高値の更新が続いてきた金市場では、リスクオフの中で現金比率を上げるための売りがこの日は先行した。。いわゆる「備えの金(ゴールド)」というわけだ。
ただし、押し目買い意欲も強く、時間外取引では2900ドル台前半での値動きが続きましたただし、押し目買い意欲も強く、2900ドル台前半での値動きが続いた。