亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金、ETFに続きファンドの買い建て(ロング)も大きく減少

2024年02月19日 20時51分44秒 | 金市場

先週末2月16日のNY金は続伸で取引を終了。14日には一時2000ドルの大台をロンドンさらにNYの時間帯にも下回ったが、短時間で買い戻され下値での買い引き合いの強さを印象付けた。16日のNY金は、早朝に発表された1月の米生産者物価指数(PPI)は前月比で0.3%上昇と市場予想を上回る伸びを示し、米長期金利が上昇したにも関わらず、上昇で取引を終了した。やはり総じて堅調な米国指標の発表が続く中では、底堅いとの印象となる。ただし、米10年債利回りに関しては、当面発表される指標次第では、上に反応しやすい印象を持たせる展開で要注意といえる。

16日はドル指数(DXY)が前日に発表された1月小売売上高が前月比0.8%減と、個人消費の勢いが失速している兆候を示唆したことから、利益確定の売りも出やすくゴールドにはサポート要因となった。DXYは売られたものの週間では5週連続の上昇となった。

 

金市場の内部要因としては、現物由来の金ETF(上場投信)の残高減少が目立っていることに加え、先週末に発表されたデータでは、NY金先物市場のファンドのロング(買い建て)が大きく減少したのが目に付いた。

2月13日時点までの1週間でCTA(商品投資顧問)など目先筋の買い建て(ロング)が、重量換算で前週比約112トン減り144トンとなっていた。これは昨年10月上旬以来の低水準となる。

前週から多くの連邦準備理事会(FRB)高官の発言が伝えられ、いずれも利下げについて慎重姿勢を示したこと。さらに発表されてきた一連の米経済指標も 発言内容をサポートするものが多かったことから、利下げのタイミングは3月のみならず5月の可能性も大きく後退したことで、ファンドの手じまい売りが進んだとみられる。

2000ドル割れが持続することでテクニカル要因の悪化も考えられたが、週末の引け状況から判断するに回避された形となっている。利下げのタイミングが後ずれはするものの、実施される方向にあること。さらに24年は下半期にリスク要因が控えるとみられることから、下げ局面を拾う投資家が存在し、異例の底堅さが持続しているとみられる。

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