年金制度は複雑だ。
ネットで調べただけでは理解できないことが多い。
その理由は、次のようなことが挙げられる。
①制度がたびたび変更される。
②専門用語が多い。
③共済年金、厚生年金、国民年金の一元化。
④改正の際の移行期間がある。
⑤性別や官民で制度に差がある。
ちょっと考えただけでも、このようなことが頭に浮かぶ。
具体的に、私の場合はこんな感じになる。
<特別支給の老齢厚生年金>
昭和33年生まれの男性の場合、63歳で「特別支給の老齢厚生年金」が受給できることになる。
「特別支給の老齢厚生年金」は、生まれた年で段階的に60歳から65歳受給へと引き上げられたが、男性と女性で異なる。
男性は昭和36年4月1日生まれまでが対象となるが、女性は5年遅れの昭和41年4月1日生まれまでとなる。
しかしこれは民間で勤務した女性の場合で、公務員の場合は女性も男性と同じである。
<在職老齢年金>
「特別支給の老齢厚生年金」の受給で問題となるのは、働いていた場合である。
その場合は「在職老齢年金」といって、年金がカットされる場合がある。
65歳未満の場合、今までは年金の「基本月額」と、給与の「総報酬月額相当額」の合計額が28万円を超えたときは、年金がカットされていた。
しかし、今回の改正で令和4年4月からは、その額が47万円以下であれば全額支給されることになった。
私の場合、3月までは全額停止されていたが、今回の改正で全額支給されることになった。しかし、まだ貰ってはいない。
なお、調べた結果、理由はよくわからないが4月は全額は貰えないらしい。
<加給年金>
結婚している夫婦の場合、例えば夫が年上で65歳になると妻が65歳になるまでの間は「加給年金」が夫に支給される。
加給年金額は、特別加算を加え年額388,900円(月額32,408円)。この4月からは減額となったが、1年で約39万円となりそれなりの額である。
しかし、給付を受けるためには条件がある。
私の場合、気になったのは、日本年金機構にある次の文章だ。
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ご注意
配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上または共済組合等の加入期間を除いた期間が40歳(女性の場合は35歳)以降15年以上の場合に限る)、退職共済年金(組合員期間20年以上)を受け取る権利があるとき、または障害年金を受けられる間は、配偶者加給年金額は支給停止されます。
配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上または共済組合等の加入期間を除いた期間が40歳(女性の場合は35歳)以降15年以上の場合に限る)、退職共済年金(組合員期間20年以上)を受け取る権利があるとき、または障害年金を受けられる間は、配偶者加給年金額は支給停止されます。
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私の妻は62歳から「特別支給の老齢厚生年金」が受給できる。
もし括弧書きに該当するなら、被保険者期間が35歳以降で15年以上あることから、妻が62歳になると私は「加給年金」が受給できないことになる。
そこで、市町村職員共済組合等にも確認したが、どうやら上記の括弧書きは、「厚生年金保険法の中高齢者の特例」を意味しているらしい。
したがって、妻の加入期間が20年以上でなければ、65歳まで貰えることが分かった。
<振替加算>
では、妻が65歳になると私の「加給年金」は停止となるが、妻にはそれに代わり「振替加算」が給付されることになる。
その額は、年額で14,988円(月額1,249円)。これは私の妻の場合だが、若い人ほど減って、昭和41年4月2日生まれ以降は無くなってしまう。
振替加算にも受給条件があり、妻の厚生年金保険等の加入期間が240か月未満であることが条件となる。
妻の場合、65歳の誕生日では240か月に達しないが、その年度末には達する。
「振替加算」は年額15,000円程度なので諦めるか、多少手前で辞めるか、どちらかを選択しなければならない。
年金制度は複雑だ。
でもどんな制度も完璧でないので、得をする人と損をする人が発生する。
出来れば、明らかな損はしたくないものだ。