Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

雨降りのリゾートホテルのプール

2009年06月16日 | 那覇、沖縄
 雨振りのリゾートホテルのプールは、なんだか晩秋の雨降りの動物園のような気がした。しかし、確かにどちらも表面的には寂しく見えるのだけれど、実は自分の心を見ているだけなのかもしれないと思う。プールもその周りのビーチシートも、ヤシの木も、あるいは静かに丸まって眠る動物達も、いつもと何もかわらないのだから。
 雨振りのリゾートホテルのプールは、なんだかいつもより輝いているように見える気がした。それは強い雨がプールの水面に複雑な凹凸を作り出すからではなく、薄暗い梅雨空の中、人気の無いプールの底が妙に青く見えるからだろう。そんな描かれたマリンブルーの中に必死に太陽の輝きを探す自分がいる。
 雨降りのリゾートホテルのプールは、なんだか、自分の記憶を呼び起こしてくれる装置のようだ。そのプールには誰もいないからだろうか、私はそのプールをめぐる物語の主人公になり、過去に幾多も経験がないにもかかわらず、そんなリゾートホテルのプールで遊んだ記憶が蘇る・・・。
 

フランジパニ

2009年06月16日 | 家・わたくしごと
 沖縄はこの数日、雨が降り続いている。このまま振り続けば梅雨明け後の水不足の心配はなくなるが、この時期、沖縄で過ごすのは憂鬱だし、明るい太陽を期待してきた観光客にとっては本当に悲しい季節である。
 朝起きると今日もうんざりするような天気。しかし朝から名護で仕事なので、深いため息をついて家を出る。高速道路もずっと雨、晴れれば右手には真っ青に見える海も今日はもやでその姿すらなし。なんだか沖縄ではなくて、山梨や長野の高速道路を走っているような錯覚を覚える。それはそれで沖縄からの現実逃避のようで、不思議と快い気分になれるのだけれど。
 仕事も終えて、あいかわらずの土砂降りの中、帰りにこの三月に卒業したゼミ生が勤めている高級リゾートホテルに寄ってみた。このホテルには不思議と沖縄の香りはまったくない。それは悪い意味でなく、ホテルそのものがそうした香りを排除しているせいだろう。まるでインドネシアやタイの静かなリゾートホテルのようなそんな香り漂う。甲斐と信州の次は、アジアリゾートホテルを錯覚するなんて、なんだか今日は現実逃避の世界旅行だ。ロビーでしばらく休んで、そんな雰囲気を体全体ですっかり吸い込んでホテルのロビーを出る。とそこには、フランジパニの大きな樹が!車を運転してくれていたかみさんが、地面に落ちた花を一つ拾って、帰りの車の車内に置いた。外は大雨なのに、まだ独特の香りを漂わせるたった一つの花は、私の気持ちをすっかり変えてくれる。あんなに憂鬱だった気分はいつのまにか、どこかに消えてなくなっている・・・。