Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

パッションフルーツ

2009年06月17日 | 那覇、沖縄
 沖縄に赴任した翌年、ちょうど今と同じ時期にドライヴで本島北部の「道の駅」に寄ったとき、パッションフルーツが山盛りで売られていることに驚かされた。沖縄の好きな人々にとっては、この梅雨の時期、沖縄では路地栽培でパッションフルーツが収穫できることなど常識だったのかもしれないが、赴任して初めて沖縄に行った私のような「沖縄素人」にとっては、インドネシアでしか食べたことの無いこの果物を沖縄で見れたことは感動の一言だった。もちろん、そのときは嬉しくて大きな袋に入ったパッションフルーツを買って、大切に食べた記憶がある。
 昨日、名護の帰りに道の駅によると、たくさんのパッションフルーツが売られている。しかも那覇の町で売られている値段よりははるかに安く、獲りたての新鮮。お世話になっている友人に一袋買った。ビニールの外袋からの甘酸っぱい「蛙の卵のような果肉」の香りが漂う。
 音楽は時代やそんな時代の中で聞いた自分を映す鏡だという。しかし私には香りも同じだ。パッションフルーツという英語の果物名を知らずに、「マルキッサ」というインドネシア語でこの果物を知った20年前、私はこの果物の香りと味に魅了された。よく近所の市場に買いに行って毎日、そんな香りを楽しみながら少しずつ部屋で食べた。バリのマルキッサの表皮は、もっと鮮やかなオレンジ色だが、その中身は沖縄のパッションフルーツと同じだ。
 買ってきたパッションフルーツは友人のおみやげだから、「開けちゃだめだよ」と自分に言いきかせ、そのビニール袋を右に左に移動させて、そこから漂う香りだけを味わいながら、健康のことなんて考えてもみなかった20年前の自分のことを思い出して苦笑する・・・。