社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

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「日本人遺族における宗教性と悲嘆、抑うつとの関連」坂口幸弘(2016)

2016-05-06 14:18:55 | 心理学
『遺族によるホスピス・緩和ケアの質の評価に関する研究 J-HOPE3』付帯研究9

 日本人遺族における宗教活動や死後観を明らかにするとともに、死別後の悲嘆や抑うつとの関連を検討することを目的に、質問紙調査を実施している。

引用
・20~40歳代の比較的若い世代において、特定の宗教をもたず、宗教活動をしていない人の割合が、上の世代に比べて相対的に大きいことを示された。
・死後観に関しては、各世代を通じて7割前後の遺族が肉体は死んでも魂は残ると考えており、特定の宗教をもたない遺族においても約6割がそのような考えをもっていた。
・回答者全体において、複雑性悲嘆の可能性が高いと評定された遺族は13.9%であり、大うつ病性障害の疑いがあると判断された遺族は17.2%であった。
 *大うつ病性障害→一般的に、うつ病と呼ばれているもの。


 特定の宗教をもたない世代が増えている中で、「死別をどのように感じているのか?」「どのような悲嘆ケアが有効か?」そんな疑問から本論を読んだ。
宗教によって弔いの儀式は様々で、それを十分に理解したうえでケアを提供することは、決して容易ではない。
よかれと思った声掛けが、「的がずれている」と受け取られてしまうこともありうる。
特定の宗教を持たないからといって、悲嘆に暮れるとは限らず、一方で信仰する宗教があるから救われるとは限らない。
その人がいま、別れの状況をどう感じ、何に痛みを感じているか。まずはそこに耳を傾ける必要があるのだろう…当たり前のことだが、難しい…。
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