篠原正瑛さんの思い出

今朝ＮＨＫのニュースでこんな話が放送されました。

「物理学者アインシュタインが戦後、日本の哲学者、故・篠原正瑛さんと原爆や平和について交わした手紙が、遺族代理の弁護士などを通じて広島市の原爆資料館に寄贈されました。」

画面には篠原さんの遺影が映し出されましたが、大変懐かしい姿でした。篠原さんは有名な哲学者でしたが、別の一面がありました。それは、ドイツの蒸気機関車の権威で、鉄道模型メルクリンのコレクターとしては第一人者でした。

氏が経営されていた「喫茶室ゼロイチ」（東京・宝町）でのＤＢ（当時はドイツ連邦鉄道＝西ドイツ国鉄）の映画会やメルクリン・クラブに出席していたことから、篠原先生には色々ドイツのことを教えられ、それが今の私の活動に大きく影響しているのです。

喫茶室ゼロイチが１９８４か８５年頃に閉店となってから、ずっとご無沙汰していましたが、数年前に新聞に逝去の記事が小さく載っていたのを知って、葬儀に参列しました。近親者のほかは私を含めて３名ほどのゼロイチ時代の仲間だけというささやかなお葬式でした。

　生前に一度だけお宅を訪問して、驚異的なメルクリンのコレクションとレイアウトを見せていただいたのですが、そのときアインシュタインのサイン入りの写真も見せていただいたのを思い出します。それは大変貴重なものだったのですね。

ともあれ、先生の手紙がこうして貴重なものとして保存されることとなり、それがニュースとなるとは、先生も天国で喜んでおられることでしょう。あらためて、合掌。

なお、私とメルクリンのかかわりについては、拙著「ドイツ＝鉄道旅物語」（光文社・知恵の森文庫版）をご参照ください。
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