nodatchのブログ

鉄道が好きな旅行作家が、取材や出版などの個人的な話を書いていきます

蒸気機関車ゼロイチ牽引のライン河花火見物列車(2)

2020-08-16 16:33:00 | ヨーロッパの鉄道

ヨーロッパ鉄道旅行写真デジタル・アーカイブス 2001年夏、ドイツ&チェコの旅、その20


前編(1)は、こちら

ライン河畔のボッパルトBoppard駅で2時間少々の大休止。まともな(笑)乗客は、近くのレストランへ食事に出かけていきました。不案内な人のために、車掌が食事処を記した地図を配っていました。

とりあえずは、列車の観察。ゼロイチを中心に客車も見ていきました。






緑の客車で編成された列車内で異彩を放つ「赤い食堂車」



多くはDB(旧・ドイツ連邦鉄道)のマークを付けていましたが、戦前のDR(ドイツ帝国鉄道)のマーク入りの客車も混じっていました。

ポッパルトはドイツでも有数の幹線上にある駅ですので、かなり頻繁に列車が行き交っています。


↑2階建て客車で編成された普通列車。電気機関車が最後尾に付いたプッシュプル列車(Wendezug)です。


↑高速列車ICE(InterCity Express)も猛スピードで通過していきました。

私は休む暇もないのですが、さくらこさんは退屈してしまったようです。


というわけで、駅を後にライン河畔へ。5分もかかりませんでした。




のんびり散策して駅に戻ってくると、そろそろ出発の準備です。


列車は、一旦、駅のはずれまでバックして、ゼロイチを先頭にホームに入ってきました。薄暗くてフィルムでは撮れないので、デジタルビデオで撮影してみました。残念ながら、この場では公開できません。

指定券を持った人が乗って来たので、赤い食堂車へ移動して、食事をすることに。ところがクレジットカードは使えないことが判明。ビールと最低限のものしか注文できませんでした。

すっかり日が暮れたライン河畔を走り、21時40分にコブレンツ中央駅着。1時間くらい停車する間に、ゼロイチは構内のデルタ線で方向転換し、逆向きになって再び列車に連結。

22時52分。コブレンツ中央駅発車。ものの3分ほど走り、ライン河に架かる鉄橋上で停車。花火が上がり、30分ほど車内から花火見物を楽しみました。日本の花火と異なり、色彩感に乏しく地味でしたが、まわりのドイツ人たちは大喜びでした。

終了後、一旦、対岸のコブレンツ・リュッツェル駅に停車。ゼロイチは切り離され、列車の先頭から最後尾に移動して客車に連結。あとは、一気にフランクフルトへ戻るだけです。

ちょっとゼロイチを見るだけのつもりが、フランクフルト中央駅到着午前2時の大旅行となってしまいましたが、大変充実した一日でした。


翌日の帰国便は、午後の出発だったので、朝寝坊しても慌てることはなく、ゆっくりと空港へ向かいました。

以上で、2001年夏のドイツ&チェコの旅レポートはおしまいです。

(乗車日=2001年8月11日)

<参考>
ヨーロッパ鉄道旅行写真 デジタルアーカイブス、ポータルサイトは、こちら

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蒸気機関車ゼロイチ牽引のライン河花火見物列車(1)

2020-08-15 16:31:00 | ヨーロッパの鉄道

ヨーロッパ鉄道旅行写真デジタル・アーカイブス 2001年夏、ドイツ&チェコの旅、その19


リンゴ電車」をフランクフルト中央駅前で降りて、駅構内へ向かいました。この日は、年1回のSL(蒸気機関車)牽引による「ライン河花火見物列車」が運行される日。ちょっとだけ、機関車の姿を拝みたくてホームへ。発車案内板のSonderzug(特別列車)という表示を手掛かりに1番線へ。ダークグリーンの旧型客車で編成された列車が停まっていたので、安心して先頭へ向かいました。

予想通り、機関車は往年の急行列車牽引機ゼロイチ(01)形。1999年夏に同じフランクフルト中央駅で出会って以来の再会でした。



ホームはイベントらしく大勢の人でごった返していました。そんな中、何とか記念写真を撮ってもらいました。


運転台の様子。フランクフルトの鉄道愛好家の団体が保有する機関車なので、DB(ドイツ鉄道)の表示の代わりに Historische Eisenbahn と書いてありました(01 118 の上です)。


これだけで満足だったのですが、さくらこさんが「乗らないの?」と言います。その後、何の予定もないので、何とかなるだろうと思い、衝動的に飛び乗ってしまいました。





17時15分、図体に似合わない甲高い汽笛を鳴らして発車。広い構内をゆっくりと進みます。



車掌が回ってきたので、きっぷを購入。ユーレイルパスは使えません。「空いている席に座っていいよ」と言われたのですが、ほぼ満席。さくらこさんをコンパートメントの片隅に座らせ、私はもっぱら通路から車窓を楽しむことにしました。かつての、ブルートレインの旅を思い出しました。

マインツを出ると、ライン河に沿って快走。インターシティやICEで何度か通った路線をゼロイチ牽引列車に乗って進むなんて夢のようでした。




対岸を走るローカル列車や貨物列車が気になりますね。

19時12分、ライン河畔の小駅ボッパルト Boppard に到着。まだまだ明るいので、ここで2時間ほど停車。時間調整をして花火見物に備えるのです。


つづく

(乗車日=2001年8月11日)

<参考>
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フランクフルトのリンゴ酒電車

2020-08-14 14:03:00 | ヨーロッパの鉄道
ヨーロッパ鉄道旅行写真デジタル・アーカイブス 2001年夏、ドイツ&チェコの旅、その18


帰国便の出発するフランクフルトでは、前日とくに予定を入れていませんでした。市内を散策するか、買い物でもするかと考えたのですが、たまたま土曜日だったので、トラム(路面電車)のイベント車両である「リンゴ酒電車」(Ebbelwei Express)が午後走ることを思い出しました。


リンゴ酒を呑みながら、市内遊覧をするプランに、さくらこさんが反対するわけはありません。ランチを食べたあと、のんびりと中央駅前の電停に向かいました。

何本か普通の路面電車をやり過ごした後、お目当ての「リンゴ酒電車」がやってきました。


停車してドアが開いたので、乗ろうとしたら、車掌が「Nein,Nein(ダメ、ダメ)」と制止します。満員だから乗れないとのこと。ガッカリです。数分後に、「リンゴ酒電車」は近くをぐるりと回って戻ってきたのですが、今度は停車もしないで通過していきました。

40分後に戻って来るので、再びトライしてもいいのですが、また乗車拒否されるかもしれません。冷静になって、リンゴ酒電車の時刻表とルートをプリントアウトしてきたものをチェックしてみます。すると、市内を一周するルートで、中央駅とは反対側に位置するHeide Strasse(ハイデ・シュトラーセ<通り>)で15分ほど停車をすることになっています。最悪、じっくりと写真だけでも撮って引き上げましょうか?市内の電車とバスの路線図を調べると、Uバーン(地下鉄)ならショートカットで先回りできることが判明。さっそく地下鉄でハイデ・シュトラーセ駅の近くにあるボーレンハイム・ミッテ駅に向かいました。乗車時間は10分ほどでした。

ハイデ・シュトラーセ駅は路面電車の車庫があるところ。15分も停車する理由が分かりました。



車庫の電車を撮影して時間をつぶしていると、先ほどの「リンゴ酒電車」がやってきました。ここで何人もの乗客が下車したので、今度は、車掌が愛想よく車内へ案内してくれました。やっと乗れたのです。

15分ほど停車するので、席を確保した後は、車外から何枚か記念写真を撮りました。





さっそく呑み始めてご機嫌なさくらこさん。


旧型車両なので、レトロな運転台付近。

さあ、いよいよ出発です。5ユーロ(現在は8ユーロ)払うと、リンゴ酒のボトル1本とおつまみのスナックを渡されました。子供やお酒が飲めない人は、リンゴジュースかミネラルウォーターを受け取っていました。

ボトルのラベルは「リンゴ電車」のイラスト入り。写真を撮っただけなのか、持ち帰ったのかは忘れてしまいました。電車は結構無造作に急カーブを曲がるので、テーブルにはかなり深い穴が掘ってあり、そこにボトルやコップを差し込んで転倒を防ぐようになっていました。





いつしか車内ではBGMが流れ出しました。真夏なのに、季節外れの「ジングルベル、ジングルベル・・・」のメロディ。耳を澄ますと、「アプㇷェルワイン(リンゴ酒)、アプㇷェルワイン、・・・」という替え歌。口ずさむ人もいて、車内は居酒屋の雰囲気で盛り上がってきました。結局、(ほろ酔い気分だったので、たぶん)1周半して中央駅前で下車しました。

(乗車日=2001年8月11日)

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ドイツの高速列車ICEの食堂車

2020-08-12 13:54:00 | ヨーロッパの鉄道
ヨーロッパ鉄道旅行写真デジタル・アーカイブス 2001年夏、ドイツ&チェコの旅、その17

ミュンヘンでの滞在を終え、帰国便が出発するフランクフルトまで、ドイツ鉄道(DB)の高速列車ICEで旅をしました。所要時間は、3時間半ほど。朝10時過ぎの列車に乗ったので、食堂車でランチを食べることにしました。

何にしようかな?とメニューを見ながら考えるさくらこさん。


とりあえず、ビールですね。ドイツでは、昼間から呑んでも何ら違和感はありません(笑)
何か嬉しそうです。


食事が運ばれてきました。

Eintopfというシチューあるいはグラーシュみたいなものだったと思います。ランチなので、あまり胃にもたれるものは避けました。一緒に運ばれてきたパンは、ビールのつまみとしてもぴったりです。

食事の写真をお見せしましょう。




食堂車は空いていましたので、急かされることもなくゆっくりと食事を楽しみました。フランクフルトまでの行程のうち、かなりの時間を食堂車で過ごしたような気がします。そのためか、車窓の写真が残っていませんでした。

(撮影日=2001年8月10日)

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ディーゼル版ICE

2020-08-10 18:04:00 | ヨーロッパの鉄道
ヨーロッパ鉄道旅行写真デジタル・アーカイブス 2001年夏、ドイツ&チェコの旅、その16


ドイツの高速列車ICE(InterCity Express)は、飛ぶ鳥を落とす勢いで客車列車のIC(InterCity)にとって代わり、2001年頃にはDB(ドイツ鉄道)の新しい主役の地位を確固たるものとしていました。第1世代のICE(先頭車と最後尾の車両が動力車)に始まり、動力車が片側だけのICE2、動力分散式の完全な電車となったICE3、振り子式のICE-Tとバリエーションが豊かになっていきました。

こうなると非電化区間に直通する列車はどうなるのか、気になっていましたが、何とディーゼルカーのICEが登場したのには、正直驚きました。それが、ICE-TD。2001年7月に運転開始、それもミュンヘン~チューリッヒ(スイス)の国際列車としての運転ということで、ミュンヘン滞在中にその姿を見てみたいものだと思っていました。列車ダイヤを見てみると、朝の8時14分発のチューリッヒ行きがあることが分かりました。

幸い、中央駅直結のインターシティ・ホテルに泊っていましたので、朝食前に、さくらこさんを部屋に待たせて、ちょっとだけ撮影してきました。


運よく、回送列車として入線してくるところをキャッチ。列車は4連を2編成連ねた8両編成でした。




振り子式電車のICE-Tからパンタグラフを取っただけのような(むろん動力方式は異なりますが)外観ですね。
この列車は8両編成なので、中間部は、このようになっています。


発車までかなり時間があったので、ちょっとだけ車内をのぞいてみました。




ぱっと見ただけでは、ICE-Tとの違いは分かりませんでした。



ドアの右にミュンヘン中央駅発、チューリッヒ中央駅行きという表示があるのですが、見にくいですね。念のため、駅の案内板を撮っておきました。
↓写真、左はICE(初代)、右はICE-TD




ICE92列車
列車名 Angelika Kaufmann (18世紀に活躍したスイス生まれの女流画家。ミュンヘンの美術館にも作品が展示されているらしい)
Muenchen Hbf ab 8:14(ab=Abfahrt=発)(an=Ankunft=着)
Lindau ab 10:29
Bregenz ab 10:40
St Gallen an 11:22
Winterthur an 12:01
Zuerich Flughafen an 12:16
Zuerich HB an 12:27

残念なことに、車両は故障がちで、別の車両が代行することもしばしばだったようです。その結果、2003年には運行停止となり、再整備の後、2007年から、ハンブルク~コペンハーゲンの「渡り鳥コース」で用いられたものの2017年には引退してしまったようです。ある意味、貴重な記録だったのかもしれませんね。なお、このときの写真の一部は、帰国後、人づてに「鉄道ジャーナル」編集部に紹介され、ニュース記事の1枚として掲載されました。私としては、「ジャーナル誌」に掲載された唯一の写真です。

(撮影日=2001年8月9日or10日)

<参考>
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