nodatchのブログ

鉄道が好きな旅行作家が、取材や出版などの個人的な話を書いていきます

『昭和の日』にいすみ鉄道を訪問

2013-04-29 22:18:00 | 国内の鉄道
4月29日の「昭和の日」。千葉のいすみ鉄道を訪問したのですが、奇しくも「昭和」を彷彿とさせる国鉄型ディーゼルカー、キハ28乗車と昭和の頃活躍したクルマを見物するミニトリップとなりました。

まずは、JR外房線との乗換駅大原から国吉まで、いすみ鉄道に乗車。降りると、国吉駅はずれに置いてあったキハ30の脇を、乗ってきた列車とすれ違って大原へ向かう新型ディーゼルカーが走り去って行きました。

28日と29日は、国吉駅近くで、『みんなでしあわせになるまつりin夷隅』が開催されていました。屋台やステージもありましたが、目玉の一つが、昭和時代に活躍したクルマの展示とボンネットバスの体験走行。クルマはキリがないので、駅前に置いてあったダイハツ・ミゼット(昭和45年式)の写真のみご紹介しましょう。

ボンネットバスの体験乗車は長蛇の列だったので、あっさり諦めました。それよりも国鉄形ディーゼルカーのキハ28形とキハ52形で編成された急行列車が国吉に到着する時間が迫っていたので、そちらの撮影を優先させました。


キハ28が、留置中のキハ30の脇を通り抜ける写真をものにしようとしたのですが、人が多すぎました。鉄道ファンは、きちんと立ち位置を安全なところに決めているのに、中高年の女性と思しき観光客が平気で前に出て、しかも線路に入ってしまうというマナーの悪さ。何人かで注意しても、最初はなぜいけないのか分からなかった見たいです。「後ろから別の列車が来ますよ」と言われて、やっと轢かれる恐れがあると分かったみたい。怖いもの知らずです。

その別の列車は、新型ディーゼルカーだったので、急遽予定を変更して、それに乗って終点の上総中野まで乗りとおしてしまいました。大多喜からはクロスシートに座れ、心地よい旅ができました。上総中野では、小湊鉄道との並びを撮影。

同じ列車で引き返して、大多喜で下車。ここで、キハ52を撮影して、駅前で小休止です。


その間に駅で、大原行き急行の予約を取り、いよいよ待望のキハ28に乗車。指定券は、席にまだ余裕があったようで、ボックス席の進行方向窓側をゲットできました。先ほど乗った同じ路線を戻るだけなのに、急行形ディーゼルカーの乗り心地は別世界のように快適です。過ぎゆく田園風景をのんびり眺めながら、時は流れていきます。

国吉では10分ほどの小休止。タブレット交換もイベントとして撮影タイムになってしまいます。
ここで、じっくりキハ28の撮影もできました。

急行列車の旅を再開。終点大原が近づくと「アルプスの牧場」というメロディーのチャイムが流れます。「ハイケンスのセレナーデ」がブルートレインをはじめとする客車のチャイムなら、「アルプスの牧場」は、国鉄形ディーゼルカーのチャイムです。久しぶりに耳にでき、たいそう懐かしい、文字通り国鉄時代にタイムスリップしたかのようでした。

大原で、乗ってきた急行列車が大多喜へ戻って行くのを見送って、いすみ鉄道の旅は終了。最後に、本日使用した乗車券類の画像をお見せしましょう。

手書きで硬券の急行券は味がありますね。もちろん、記念に持ち帰ることができます。そのような車内放送もあり、みな満足そうに帰って行きました。

真岡のSLキューロク館

2013-04-27 16:23:00 | 国内の鉄道
蒸気機関車C12やC11が牽引する「SLもおか」の走る真岡鉄道(茨城県・下館~栃木県・茂木)。その拠点駅・真岡に3台目の蒸気機関車9600形(通称キューロク)が運び込まれました。
長らく近くの公園で静態保存されていた機関車で、動態に復元するのは難しそう。しかし、奥の手というか、圧縮空気を使って動かすことに成功、本線上を客車をけん引して疾走することはかなわないけれど、構内をゆっくり前進、後進するくらいならできるそうです。そのための、イベント施設「SLキューロク館」が、4月28日にオープンすることとなり、事前の試運転が行われているとの知らせを受けました。幸い、蒸気機関車に詳しいライターのS氏が案内してくださるということで、栃木県の真岡まで出かけてきました。

真岡駅脇に完成した「SLキューロク館」。9600形SLだけではなく、客車やらディーゼルカーまで展示され、小さい鉄道博物館の様相を呈しています。

裏へまわってみると、SLの形をした建物が2棟。左が以前からある真岡駅、右が今回完成した「SLキューロク館」です。


普段は館内で展示されますが、日曜と祭日のみ3回屋外で動くそうで、そのための試運転が行われました。

蒸気で動くわけではないので、煙や蒸気は出ませんが、汽笛を鳴らして、ゆっくりと前進してきました。今や、全国で蒸気機関車の動態保存が行われていますが、キューロクは皆無なので、ともかくキューロクが動いたというのは、ある意味感動的です。

せっかくのチャンスだったので、前から横から、後ろからキューロクの写真を撮らせていただきました。










そのとき、真岡鉄道のディーゼルカーが脇を通過。キューロクとのツーショットをものにできました。


オープンしてしまえば、見物客でごったがえすでしょうから、こんな写真は撮れません。蒸気で動くわけではないけれど、関係者の熱意には感服。どんなものであれ、動く蒸気機関車はいいものですね。

中日新聞と産経新聞

2013-04-24 18:25:00 | 作家活動
先日の中日新聞の記者がやってきて取材を受けた記事が掲載され、現物も入手できましたので、ご覧下さい。新聞は東海地区限定ですから、見ていないかたも多いことでしょう。

3月に出たばかりの「にっぽん鉄道100景」(平凡社新書)の紹介を兼ねた記事で、本の宣伝をしてもらえ、嬉しい限りです。一人でも多くの方がこの本の存在を知って、書店で手にとってもらえればいいのですが・・・。なお、写真の背景が、東京駅赤レンガ駅舎であることはお分かりですね。

さて、続いて、21日日曜日の産経新聞朝刊読書欄で、「にっぽん鉄道100景」が取り上げられました。この新聞は残念ながらまだ見ていないのですが、幸いwebで読むことができます。

こちらをご覧ください。記事の内容は、こちらでも読めます。

書評の最後にもありますように、「ゴールデンウイークの旅の参考に」買い求めていただければ、と思います。


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名古屋の森下駅

2013-04-18 10:30:00 | 国内の鉄道
先週、3月に亡くなった伯父の法要があったので、日帰りで名古屋へ行ってきました。「出張ついでのローカル線」などという本も書いているので、「ついで旅」がしたいところでしたが、時間的に無理。でも、往復の道中に何かできないかな、そういえば法要のあるお寺には、どうやって行けばいいのだろう、と調べていたら、鉄道でも行けることが判明しました。

普通なら、名古屋駅からタクシーとか市バスで行くところでしょうが、それでは面白くありません。ちょっと早めに名古屋駅についたので、面倒でしたが、まず地下鉄東山線で栄まで行き、歩いて数分のところにある名鉄瀬戸線の栄町駅から瀬戸行きの電車に乗りました。

お寺の最寄り駅は栄町から7分ほどのところにある森下駅。森下駅といえば、2月まで住んでいたマンションの最寄り駅(ただし、東京の都営新宿線)。同じ名前の駅です。妻が、出かけるときに急いで森下から○○○駅までのルートを検索していて、不思議と名古屋の森下駅が出てきて、「どうして『のぞみ』に乗らなくちゃいけないのよ!」と焦っていたことから、我が家では有名になっていた駅です(笑)。こんな機会でもなければ降りることのない駅なので、そんな意味からも興味ある場所でした。

地下の栄町を出発。土曜のお昼前でしたが、電車はガラガラでした。次の東大手を過ぎると、地上に出ていきなり高架線を走りだします。

清水、尼ケ坂と同じような駅が続いて、その次が森下。4両編成の先頭車から降りたのは私だけでした。

東京の森下は地下駅ですが、こちらは高架駅。お日様の光を浴びた駅名標を記念に撮影しておきます。

電車が行ってしまったあとの森下駅の様子。向こうのホームには数人が電車を待っていましたが、こちらのホームには誰もいません。電車は1時間に4本で15分おき。その間に急行が通過していきます。都会の真ん中なのに閑散としています。

都会の駅のホームで写真を撮ると、最近は、奇異の目で見られたり、迷惑がられたりするので、よほどのことがなければ撮影しないのですが、こんなに閑散としていれば、堂々とカメラを構えられます。法要の集合時間まで時間はたっぷりあるので、1本だけ電車を撮影することにしました。
幸い、数分で栄町行きの普通電車がやってきました。

電車が行ってしまうと、向こうのホームも無人となり、何だかさみしくなってきました。はじめての場所で、道に迷って遅れたらまずいので、階段を下りて改札へ向かいました。

自動改札があって、はじめてsuicaで出場しました。便利になりましたね。ところで、出て気づいたのですが、駅員がいないのです。切符売り場も自動券売機2台のみ。よく見渡すと、何かあれば隣の大曽根駅に問い合わせてほしいとの張り紙。何と名古屋のど真ん中の無人駅でした。あとで調べてみると、急行の通過する清水、尼ケ坂、森下はどれも無人駅。ラッシュ時はともかく、昼間はそれでも何とかなるのでしょうね。

高架駅で駅舎らしきものはなく、小さな看板が出ているだけでした。

お寺に向かって歩き出してから、振り返ってみると、こんな感じでした。ちなみに、お寺まではのんびり歩いて10分少々で到着しました。


町の真ん中の近郊路線の駅だからと大して期待もしていなかった森下駅でしたが、のんびりしていて癒されたのは事実。意外にも「出張ついでのローカル線」の気分を味わうことができました。

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撮り鉄問題を考える

2013-04-09 21:58:00 | 国内の鉄道
先日、産経新聞で列車の写真を撮影する趣味のいわゆる「撮り鉄」問題についてインタビューを受けました。それが記事になったのを契機ににわかに世間が騒がしくなってきましたので、ここでもう一度、私なりの意見をまとめてみました。

まず、「鉄道ファン」について。

鉄道ファンと言っても、様々な趣味行動があります。かつては、あまり世間で認知されていませんでしたので、写真を撮る「撮り鉄」、列車に乗って楽しむ「乗り鉄」、切符や時刻表など様々なグッズを集める「収集鉄」、模型制作や収集、運転を楽しむ「模型鉄」などがあることを紹介してきました。これらは、行動パターンですから、ある人がどれに属するかといったことは問題ではないのです。乗り鉄専門もいますし、各ジャンルを掛け持ちして愉しんでいるファンもいるので、それは人様々でしょう。あくまで、鉄道に関心がない人のために、ファンはどんなことをしているかという「案内」なのです。


さて、「撮り鉄」についてです。

↑本格的な「撮り鉄」は、大自然の中で整然と並んで列車を迎える

そもそも鉄道写真、とくに列車の走行写真を撮影するということは、難しいものです。それなりの「修行」が必要です。技術的な面だけではなく、構図的なもの。いわゆる絵になる情景を求めて、ファンは撮影場所を探し求めるのです。ところが、オートフォーカスが一般的になり、デジカメが普及し、近年は携帯、スマホ、タブレットと誰もがカメラを持てるようになったことから、「撮影」ということが極めて日常的になりました。写真愛好家のすそ野が広がったとも言えます。

加えて、ここ数年の鉄道ブーム、列車の写真を撮ることは、花見やお祭り、各種イベント同様、決して特殊なことではなくなったのです。また、鉄道会社も営業政策でSL運転をはじめ、様々なイベントを行うようになりました。かつては、一部のファンしか知らなかったような情報もネットでまたたくまに広がり、多くの人が身近なものと思うようになったといえるのです。そのため、人出が増え、混乱するようになったといえます。

これに関して、かなりの数の「筋金入りの鉄道ファン」は、うんざりしている面があります。なるべく人が集まらない、隠れた「撮影名所」を探し、あるいはイベントの本番を避け、人知れず行われる「試運転」に駆けつける、など工夫しているのです。混雑した駅のホームなぞ、人ごみを写しにいくようなものですから、極力避けます。

元々、列車の走行写真を撮影するファンは、駅撮りを嫌います。バカにする傾向すらあります。人間以外にも駅周辺は信号機や諸々の施設が多く、撮影に関してはすっきりした写真が撮れないからです。

また、高速で走る列車をぶれないで撮るには、一眼レフ以上のカメラが必要です。コンパクトカメラや携帯などでは、思うような写真が撮れるわけがないのです。ですから、ホームの、それも人が一杯いるところで、携帯を高くあげてシャッターを押して興奮している人々を見るにつけ、一体何を写しているのだろうと不思議に思うのです。それと同時に、そういう人たちと一緒にして欲しくないと思わざるを得ないのです。

↑ホームで撮る人たち

高速で走る列車を撮るときは、近づきすぎると危険なのは当たり前です。それと、列車の編成を綺麗に入れて、背後の景色も写し込むとなると、それなりに一歩引いて撮るのが当然となります。また、同好者が集まれば、一人でも多くの人が撮影できるよう譲り合うためにも近づきすぎないよう気を配ります。

ところが、最近、どうも長年ファンが築いてきた「暗黙のルール」を守らない人が増えてきたような気がします。それは、こと鉄道ファンに限ったことではありません。例えば、観光地での記念撮影。カメラを構えている人がいれば、その背後を通り抜ければいいのに、知ってか知らずか、平気で前を通ってシャッターチャンスを妨げる人、逆に大勢の人の通行の邪魔になることが分かっていて記念撮影を長々とする人たち。ちょっとした気配りに欠けている人があまりにも多い様な気がしてならないのです。

以上から、撮り鉄問題は、単に一部の「鉄道ファン」の問題とは思えません。メディアは、鉄道写真を撮る人=鉄道マニアという図式で報道しがちですが、ちょっと短絡的すぎますね。もちろん、鉄道ファン全員がマナーを守っているとは思いません。哀しいかな、無法者のようなマニアもいます。しかし、逆に言うと、どんな分野でも、職業でも、残念ながら例外的な不法行為に走る不届き者はいますね。それをことさら、○○○は悪い、と決めつけるのはどんなものでしょうか?一握りの非常識な日本人が海外で論外な行動をして、だから「日本人は悪い」と外国のメディアが決めつけるようなものではないでしょうか?

犯罪行為は許されません。しかし、それは、個別に裁くこと、非難することであって、鉄道ファン全体を非難することとは違うのではないでしょうか? また、危険個所、安全が保てそうにない個所を立ち入り禁止にすることはやむを得ないでしょう。本当の鉄道ファンは、そうしたことまで考えた上で撮影場所を探すものなのです。雑誌やブログで見たからといって、安易にひとつの場所を「有名」にして、出かける人が多すぎますね。趣味というのは、手間暇かけて造り上げていくものなのです。

ところで、撮影に夢中になると、機材も重くなることから、クルマ移動が原則で、列車には乗らない、という「撮り鉄」がいることは事実です。だからといって、鉄道ファンは、鉄道会社にとって良いお客さんではない、と決めつけるのは筋違いです。

先ほども言いましたように、鉄道ファンといっても様々です。時には撮影、時には乗車と楽しみ方も多様です。もちろん、お金のない学生やフリーターの鉄道ファンは、青春18きっぷなどの格安きっぷを愛用しています。私もシーズンには使います。しかし、ヘビーユーザーですから、当然正規料金を払って乗ることも多くなります。また、それほどお金持ちではなく、普段は安く乗っているファンても、体験乗車としてグリーン車に乗ったり、豪華寝台列車を使ったりするのです。イベント運転で記念乗車券を売っていればついつい買って、鉄道会社の商法に乗っかってしまう、そういうファンは案外多いものです。

安い切符を使うというのは、鉄道ファンだけのことではないですね。デフレが長引いてきましたから、誰もが安さを求める風潮が続いています。格安きっぷは、ある意味世間の流れです。第一、鉄道ファンでなければ、鉄道を使うという選択肢はありません。高速バスやLCC(格安航空)が世の移動手段の主流ではないでしょうか。そんなときに、安い鉄道切符を使う。とにかく、列車を利用するというのは、ある意味、鉄道会社にとっては上得意の客以外の何者でもありません。

これほど、世間では鉄道がメディアの話題になっているのに、ひっそりと消えていくローカル線が後を絶ちません。目立つイベント以外では鉄道に目を向けない人が多いから、結果として空気を運ぶような列車が増えてしまうのです。しかし、筋金入りの鉄道ファンは、地味だけれども普段着の列車を静かに見守っています。ギャラリーが殺到しないひっそりと走るローカル線や普通の人が話題にしないような大都市や幹線の地味な列車にこっそり乗ったり撮影したりしているのです。

殺気立つこともなく、のどかな大自然の中で、のんびりと普段着の地味な列車に乗ったり撮影したりして、慌ただしい日常から離れてリフレッシュする。ゆったりと過ごすという心豊かな気持ちさえあれば、変なトラブルは起きないようにも思うのです。

↑普段着の列車が静かに走る。周りには誰もいなかった・・・・。函館本線大沼公園付近にて