nodatchのブログ

鉄道が好きな旅行作家が、取材や出版などの個人的な話を書いていきます

名古屋市内を堂々と走った『SLあおなみ号』試運転列車

2013-02-15 15:59:00 | 国内の鉄道
河村たかし名古屋市長の発案で、とうとう実現してしまった名古屋市内での蒸気機関車運行。2月16日と17日にあおなみ線を走る『SLあおなみ号』の試運転が13日と14日に行われ、14日には市の関係者と沿線住民、それに報道関係者を乗せた試乗列車も運行されました。幸い、報道関係者として列車に添乗できましたので、その様子をレポートします。

14日は試運転ということで、本番とは若干異なったダイヤが組まれ、都合5往復走りました。朝の新幹線で名古屋入りし、11時20分発の試乗列車の時間まで余裕たっぷりだったので、あおなみ線ささしまライブ駅付近で最初の列車を撮影しました。

街のど真ん中なので煙はどうかな?と思っていましたが、予想に反して堂々たる走りっぷりに満足です。10分ほど後のあおなみ線電車で名古屋駅に戻って受付をすませ、いよいよ出発です。



(なお、この2枚は、SL列車で往復乗車して、名古屋駅に戻ってきてから撮影したものです。しかも、撮影位置は、普段は立ち入り禁止、この日の限られた時間帯に報道関係者にのみ開放されたものです)

名古屋駅を出ると、すぐにハイケンスのセレナーデのメロディーが流れ、案内放送が始まりました。このメロディーを聴くと旅情をそそられます。まもなく、ささしまライブを通過、右手にはJR関西本線、車両基地、近鉄名古屋本線が併走します。街のど真ん中とはいっても、住宅はあまりなく、車両基地や工場が多いですから、煙害の心配はさほどなさそうに見受けられました。

電車なら数分しかかからない小本(こもと)駅の少し先まで10分ほどで到着。あおなみ線本線から分岐し、名古屋貨物ターミナル構内に入ります。ここで数分停車し、信号待ちなどで徐行や停止を繰り返し、コンテナヤードに停車するまでには10分ほどかかりました。結局、終点までの所要時間20分のうち、貨物ターミナル内で過ごした時間が半分ほど。鉄道に関心がないと退屈かもしれませんが、鉄分があれば、貨物列車用のディーゼル機関車や電気機関車、貨車などが眺められ楽しい時間が過ぎていきます。

コンテナヤードには旅客用ホームはないので、飛行機のようにタラップを使って乗降します。降りたあたりでC56形蒸気機関車や客車(ともにJR西日本からのレンタルです)の撮影タイムです。きちんとした鉄道写真を撮る人、車両をバックに記念写真を撮る人など様々でした。






名古屋駅に戻って、3往復目の列車を見送ったあとは、近鉄で二駅目の黄金(こがね)へ。ここから歩いて数分のところにある黄金陸橋から4往復目となる列車を待ち構えました。C56は歯切れのよいドラフト音を響かせながら、名古屋駅前の高層ビル群をバックに快走して行きました。何往復もしてくれるので、乗ったり撮ったりと楽しめますね。

陸橋上は熱心な鉄道ファンが一杯でしたが、まだまだ割り込めるほどの隙間はたっぷり。皆、のんびり撮影を楽しんでいました。しかし、本番では鉄道ファンや見物客で殺到しそうなので、立ち入り禁止になりそうです。陸橋近くの観覧場所に行くのが無難そうです。

天気も良く、気温もそれほど低くなく、充実した一日でした。本番もうまくいき、あおなみ線でのSL運行が定期的に行われるといいですね。

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イベントSL列車については、拙著『旅が10倍面白くなる観光列車』(平凡社新書)をご覧ください
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『SLおいでよ銚子号』試運転列車

2013-02-08 19:50:00 | 国内の鉄道
恒例となった2月の千葉県でのSLイベント。今年は、初めてJR成田線の佐原~銚子で9~11日の三連休に走ります。昨年同様、機関車はC61形、客車は旧型客車です。今年は、前もって行われた試運転列車の報道公開試乗会で客車に乗車(5日)、7日は知人のレンタカーで追いかけ撮影を行いました。

とりあえず、走行シーンの撮影の成果をご報告します。
まずは、水郷~小見川の有名な撮影地といきたいところでしたが、現地は黄色いロープがしっかり線路に沿って張られていて(無法者の立ち入り禁止をアピールするためでしょうか?)無粋なので、その近くのロープのないところで待ち構えました。

今回は、最後尾にディーゼル機関車がついたままです。ここでは、うまく(?)茂みに隠れてくれました(笑)。

SL列車は笹川で40分停車します。これはクルマでの追いかけには有利です。昨年の内房線では、電車での追いかけができたのですが、成田線は本数が少なすぎて40分停車しても電車は追い抜きません。知人に頼ったゆえんです。

さて、2回目の撮影は、下総豊里~椎柴にて。クルマが農道に迷い込んで焦りましたが、何とか間に合いました。


しかし、成田線は平坦で、アップダウンがほとんどなく、どこで撮っても同じような写真ですね。単線で架線柱が片側にしかないので、場所を選べば、このようにすっきりした写真が撮れるのは複線の内房線と違っていいですね。

さらに列車は椎柴で15分停車します。欲張って、もう1回、椎柴~松岸で撮影できたのはラッキーでした。今度は、人も多くなかったので、踏切脇から正面がちに狙ってみました。


このあと銚子駅まで行って駅構内で停車中の写真や銚子電鉄をついでに、と欲が出るのですが、キリがないし、夜の予定もあったので、帰路につきました。幸い、夕方のラッシュ前だったので、渋滞にもあわず、スムーズに戻ることができました。

愛の国から幸福へ

2013-02-08 16:08:00 | 国内の鉄道
一昔前はやった北海道の幸福駅。今も恋人達の聖地である愛国駅と幸福駅について、その歴史と現状、 あのブームは何だったのかということについて、コメントを求められましたので、以下にまとめてみました。

それはNHKテレビの番組「新日本紀行」がきっかけだった。東京都内にあるターミナル駅の切符売場の駅員さえとっさに思い出せない北海道の辺境の風変わりな名前の駅・幸福。どんなところだろうか、と紹介された。

帯広から南へ延びる国鉄広尾線。この路線には、幸福以外にも風変わりな名前の駅が続いていた。その中に愛国という駅があったことから、「愛の国」から「幸福」へという「愛国発、幸福行き」乗車券、幸福駅入場券を買い求めることがブームとなった。

「愛の国から幸福へ」という歌まで作られ、一時はやったものだった。上記の切符は爆発的に売れ、小さな幸福駅を訪れる観光客も激増した。しかし、広尾線の列車本数があまりにも少ないことから、幸福駅へはクルマや観光バスで立ち寄る人ばかりで、列車利用は大幅に増えることはなかった。

国鉄からJRへと分割民営化が行われる中で、1987年、広尾線は廃止され、幸福駅はモニュメントとして保存され、今でも観光地となっている。愛国駅も記念館として保存され、「愛国から幸福ゆき」の乗車券をモチーフにした石碑も置かれ、往時をしのばせる。

幸福という名前とは裏腹に、広尾線は大幅な赤字の続くローカル線から脱出できなかった。JR九州のような気の利いた観光列車を走らせていたら、違った運命を辿ったかもしれない。広尾線を最初の構想通り襟裳岬まで延ばし、さらに日高本線とつないでいたら、有力な観光ルートとして脚光を浴びていたとも考えられる。あるいは、幸福駅近くに出来た「とかち帯広空港」のアクセス鉄道として変身できていたなら、もっと発展できた可能性もあっただろう。

しかし、当時は、そうした構想も計画も具体化することなく、過疎化をただ見ているだけで、漫然と列車を走らせているだけだった。せっかくのチャンスを見過ごしてしまった旧態依然とした行政や国鉄の無策が幸福駅を幸福にはしなかった。