nodatchのブログ

鉄道が好きな旅行作家が、取材や出版などの個人的な話を書いていきます

夜行列車の刷新と存続を望む

2013-11-18 20:48:00 | NewsDig
自民党の石破茂幹事長は自身のブログで、寝台特急「ブルートレイン」が2015年度末までに全面廃止される方針が伝えられていることについて、「暗澹たる気分」と嘆いたと報道された。
http://www.j-cast.com/tv/2013/11/10188572.html
http://ishiba-shigeru.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-9679.html
この嘆きについて意見を求められたので、個人的な見解をまとめてみた。


寝台特急の廃止は今に始まったことではなく、毎年のようにひとつまたひとつと廃止され、2013年秋に残っているのは、「あけぼの」「北斗星」「カシオペア」「トワイライト・エクスプレス」それに電車寝台「サンライズ瀬戸&出雲」、急行の「はまなす」だけである(できたばかりのクルーズトレイン「ななつ星」は別格として)。このうち、いわゆるブルートレインは「あけぼの」「北斗星」だけであり(「トワイライト」は色を塗り替えているし、「はまなす」は座席車も繋いでいる急行)、古くからのB寝台を主体とした列車となると「あけぼの」が唯一無二の存在ということになる)

上野駅へ「あけぼの」や「北斗星」の出発を見送りに行けばわかるけれど、寝台車の老朽化は目を覆うばかりの惨状である。かつては輝いていた青い車体は波打ち、ところどころ剥げて応急処置が痛々しい。およそ40年もの間、連日夜を徹して長距離を走り続けてきたのだから、やむをえないことではあるが、このような状態になるまで放置してきたことには哀しくなってしまう。夜行列車が大好きな私でさえ、決して安くはない切符を買って頻繁に乗るのはためらってしまうのが正直な感想だ。

客商売というのは、たえず商品を整えて維持管理していくのがあたりまえのことだと思う。愛用する常連客が多数いる老舗旅館であっても、立派であった部屋を荒れ放題に放置しつづけ、それにもかかわらず料金を据え置いていたら、いつの間にか客は逃げてしまうだろう。そんな至極当然なことを、ここ10年以上も続けてきたのがJRのブルートレインのサービスである。まるで、会社のお荷物と言わんばかりに、安楽死を図ってきたと非難されても、おそらく返す言葉がないのではあるまいか?


新型寝台列車の「サンライズ瀬戸&出雲」に関しては、老朽化は当てはまらず、住宅メーカーがデザインに参画したこともあって、居住性の極めて高い上質な空間を提供している。この列車に関しては、今のところ廃止の噂は聞かないけれど、実際乗ってみると、シーズンオフにはかなり空いていて、将来が不安になることもある。

なぜ?と思うが、実際、鉄道ファンではない知人何人かに訊いてみると、意外にその存在を知らないのである。「今でも寝台車が走っているのか」と驚く人さえいる。良い商品であっても、宣伝しなければ客が増えないのはあたりまえであろう。ここでも、長期的には、次第に客を減らせて廃止したいのではないか、夜行列車からは撤退したいのではないかと勘繰りたくなるような消極的な思惑が見え隠れするのである。


しかし、寝台車のよさを知っている人は知っている。昨年、私が出雲市から乗った「サンライズ出雲」は姫路あたりまでガラガラであったが、朝起きてみたら、スーツ姿のビジネスマンが何人も乗っていたのだ。停車駅を考えれば、深夜に三ノ宮か大阪から乗車したのであろう。効率よく出張したければ、寝台特急利用は選択肢に入るのだ。

夜行バスの隆盛振りをみれば、夜行で移動する需要は少なくない。確かに安価なバスを選択する人は多いけれど、バスが嫌いな人だっているし、各自の所得や出張旅費の懐具合によって高いか安いかの判断は個人差があろう。「のぞみ」往復プラス中級以上のビジネスホテルの値段で比較すれば「サンライズ」利用は時間の節約にもなるし、意外にリーズナブルなのである(「のびのび座席」を使えばさらにお得だ)。
http://allabout.co.jp/gm/gc/393073/5/

かように寝台列車にはメリットがあり、実用的な面だけではなく独特の旅情があり愛好者も少なからずいるのに、鉄道会社はなぜ消極的なのか?

ひとつには、手間暇がかかるわりには、それほど儲かる列車ではない、という事実がある。しかし、あまりにも効率ばかりを追い求め、幹線筋では、新幹線や昼間の特急列車と通勤車両ばかりにしてしまえば、鉄道は魅力のない交通機関となってしまい、逆に、鉄道に興味を失って他の乗り物に移行する人がさらに増えていくのではないだろうか?

 
そういえば、いくつかの鉄道会社は莫大な金をかけて蒸気機関車を復活させている。個人的には、蒸気機関車は大好きなのでもろ手を挙げて賛成しているけれど、SL列車を走らせることのみで考えれば赤字であろう。第一、快速列車扱いでは僅かな指定席料金しか徴収できないから、列車だけの収入はしれたものである。

しかし、SL列車を走らせることで、地域振興になり、多方面への波及効果を考えればペイするからこそあちこちで走らせているのだ。もっとも、地元などから資金面での援助を仰ぐなどスポンサーを募ってはいるのだろうけれど、何事も工夫次第であろう。

つまり、近視眼的ではなく、広い視野から物事を考え、知恵を絞れば、商売として成り立つ可能性は充分あると思う。要は、やる気と利害関係が異なる幾つもの企業や団体を如何にまとめていくかの企画力ではないだろうか。

とは言え、国鉄時代とは異なり、JR各社に分割されてしまった全国的鉄道ネットワークをうまく運営していくのは大変なのである。その影響をもろに受けてしまったのが長距離夜行列車だ。このままでは、せっかくの魅力的な列車が絶滅してしまう。

デビューしてまだ10年ほどにしかならない豪華寝台特急「カシオペア」さえ、廃止の対象になっているとは、一体どういうことだろうか?青函トンネルに新幹線を通すと、邪魔になるから止めたいらしいけれど、新幹線は当面は函館までしか行かない。札幌まで列車で行くとしたら、新幹線の函館駅(仮称)での乗り換えは必至になるけれど、そうまでして列車で行きたい旅行客は多数派になると信じているのだろうか?「鉄道旅行派」をかなり減らすことになると危惧しないではいられない。

こうなったら、もう既存の鉄道会社はあてにできないと感じてしまう人は多いのではないだろうか。巷間噂されるように、法改正も視野に入れて、JR貨物が夜行列車を運行する案、クルーズトレインを含めた長距離寝台列車を運行する会社を造る案、など今の縄張り意識にとらわれない列車運行体系を確保する道を、政治家を含めて国の交通問題として考えてもらいたいものである。そうしないと、鉄道旅行は魅力を失い、鉄道の地盤沈下は加速してしまうのではないかと悲観的な思いが募り、「暗澹たる気分」になってしまうのだ。

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真岡でのSLフェスタ

2013-11-17 23:36:00 | 国内の鉄道
17日(日)に真岡(栃木県)で開催された「SLフェスタ」を見学してきました。普段は圧縮空気で動くキューロク(9600形蒸気機関車)が、このフェスタのために借りてきた車掌車(貨物列車の最後尾につないでいた車両)を連結し、行ったり来たりしたのです。




撮影していたら、最後になって乗車券があまっているというアナウンスがあったので、せっかくなので硬券の乗車券を購入し、車掌車に乗ってしまいました!

車掌車に乗らないと撮れない画像が以下の2枚です。




そして、車掌車連結のイベントが終わると、「SLもおか」が茂木から戻ってくる時間となりました。急いで、キューロクは車掌車から切り離され、またこのフェスタのために駅構内で展示されていたC11ともども所定の位置についてスタンバイ。C12牽引の「SLもおか」が出発すると、蒸気機関車の3台並びが実現しました!






SL三昧の楽しい晩秋の休日でした!

今宵かぎりの東京駅発ブルートレイン『天の川』

2013-11-02 20:50:00 | 国内の鉄道
東京駅発秋田行きの臨時ブルートレイン『天の川』号。しかもDD51形ディーゼル機関車牽引というとんでもないイベント列車が11月2日走ることになりました。それもたった1日だけの東京駅発ブルートレイン復活です。すっかり忘れていたのですが、facebookで大勢の「友達」が前日に投稿していたので、怖いもの見たさから夕方、ちょっと散歩のつもりで出かけてきました。

10番線、とくに新橋寄りの機関車が停車するあたりは恐ろしい人出。ということで、数年前の「富士・はやぶさ」最終日同様、東北新幹線ホームから撮影することにしました。17時40分に回送列車が到着してから、17時53分に発車するまで、20番線に新幹線が停車していないのは4分間だけ。その「空白の4分」に賭けて撮れた写真は下記の通りです。






新幹線E5系「はやぶさ」が到着してしまったので、10番線に行ってみました。すっきりした写真は撮れる状態ではなかったので、それならと、東京駅にやってきた珍しい列車ということが分かる写真にトライしました。

東京駅で見る「ゴロンとシート」なんて初めてでしょうか?それにしても、東京駅での夜のブルートレインは久しぶりのことです。


E5系「はやぶさ」とブルートレインの組み合わせははじめてでしたっけ?ちょっと記憶にありません。


最後は、出発間際のDD51の様子。人が一杯だったので、カメラだけ高く掲げてシャッターを押してみました。「八重洲南口、丸の内南口」という表示が写っていて、東京駅にDD51がやってきたということが分かりますでしょうか?それにしても、乗ってみたかったなあ。


<参考資料>
ブルートレインについては『乗りテツ大全』『にっぽん鉄道100景』もご参照ください
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