nodatchのブログ

鉄道が好きな旅行作家が、取材や出版などの個人的な話を書いていきます

富士山にまつわる鉄道の話題

2013-06-23 16:58:00 | 国内の鉄道
富士山が世界遺産に認定されました。さっそく、ニュースなどで富士山にまつわる話題が取り上げられて盛り上がっています。当ブログでも、便乗して、富士山がらみの鉄道の話題をピックアップしてみました。

富士山に一番近いところを走っている鉄道といえば富士急。2011年7月1日からは、富士吉田駅を「富士山駅」と改名してしまいましたが、先見の明があったのでしょうか?

改名の式典時には、富士急を代表する「フジサン特急」と「富士登山電車」が揃い踏み。貴重なシーンとなりました。

写真背後に、富士山駅の駅ビルが建っていて、その屋上には富士山駅のロゴが見えますが、富士山の形をデザインしたもので洒落ています。

さて、左手の「フジサン特急」は、車体に101ものフジサンキャラが描かれていて賑やかです。それがよく分かる写真を載せておきましょう。それにしても楽しさ一杯です。


富士急が富士山の山梨県側を走るのと対照的に静岡県側を走っているのが、東海道本線吉原から分岐している岳南鉄道(運行を担当しているのは子会社の岳南電車株式会社)。貨物輸送主体の会社でしたが、貨物列車全廃で経営が苦しくなっています。富士山をバックに走る貴重な鉄道のひとつだけに、乗って応援したいものです。



東京在住の方なら、井の頭線を走っていた電車だとお分かりでしょうか?

「富士」という名門列車が、かつて走っていました。最後は、東京と大分を結ぶ寝台特急ブルートレインでした。乗客減で廃止になってしまったのは悔やんでも悔やみきれません。晩年は、東京~門司が「はやぶさ」と併結でしたので、東海道本線で見られた列車のヘッドマークはこんなものでした。

しかし、門司~大分は「はやぶさ」と分かれて単独で走っていましたので、山の形をした独特のヘッドマーク付きでした。

これは、戦前の優等列車「富士」に使われていたデザインを踏襲した由緒あるものでした。廃止は残念ですが、今でもブルートレインの客車が1両、なんと富士急の下吉田駅に保存、展示されています。富士のテールマークも誇らしげに、静かに余生を送っていますので、たまには会いに行ってみたいものですね。


地方ローカル線の支援には発想の転換が必要

2013-06-15 14:59:00 | 国内の鉄道
千葉の銚子電鉄の存廃問題について、あるメディアからコメントを求められましたので、意見をまとめてみました。
AllAboutNewsDig「ぬれ煎餅だけでは走れない銚子電鉄」をご覧ください


鉄道ファンのみならず観光客にも人気のある銚子電鉄が大ピンチに直面している。車両の修理代が出ない、老朽化した施設の補修費の当てがつかないというものだ。

 この問題は、今に始まったことではない。少し前にも、やはり電車の修理代が工面できなくなった。その時は、悲痛な社員の叫びで、ネットを通じて名物「濡れ煎餅」を大々的に販売し、全国から寄せられた暖かい注文で何とか急場をしのいだのである。


↑濡れ煎餅と並んで人気のタイ焼きは、観音駅で販売中

 こうした懸命の努力をしているにもかかわらず、国土交通省の「客の乗っていない電車を副業で走らせるのはおかしい」とのコメントは、暴言とも受け取られかねない突き放した冷たい表現である。元はと言えば、国の交通政策のありかたが、モータリゼーション偏重にすぎ(と言って悪いなら、地方の鉄道に冷たすぎ)、その結果として招いた苦境であるといっても言い過ぎではないだろう。

 確かに、ローカル線の中には、残念ながらどう考えても使命を終えてしまって廃止やむなしという路線もあろう。しかし、工夫次第では、地域のみならず観光資源としても充分やっていけるし、逆に地域活性化に役に立つ路線も多いのだ。廃止するのは簡単だが、一旦レールを剥がしてしまえば、復活は極めて困難になるし、鉄道を廃止したのを契機に、ますます寂れてしまった地域も後を絶たないのが実情である。

 同じ千葉県にある第三セクターのいすみ鉄道も、数年前、廃止は時間の問題と思われた。しかし、公募社長を中心に奮闘努力し、魅力ある観光列車を運行するに至り、息を吹き返したのだ。いすみ鉄道は、沿線に人気あるメジャーな観光地がないにもかかわらず再興を可能にしたのだから、有名観光地犬吠埼が沿線にあり、すでに鉄道自体が観光の目玉となっている銚子電鉄を存続させることが無理なことだとは思えない。

↑犬吠駅は観光地の玄関駅らしく華やかな南欧風のたたずまいだ

 最大のネックは資金である。乏しい財政の銚子市が及び腰なのは、ある意味理解できなくもない。最大6億円のカネが必要と聞くと、そんな巨額の税金を赤字ローカル線につぎ込むのは無駄遣いとの意見も数多く出てきそうだ。しかし、別の発想もある。

 例えば、高速道路をたった1km造るのに最低でも50億円国費を投入しているときいて、どう思うだろうか?銚子電鉄の運営距離は7km未満だから、もし同じ距離の高速道路を建設するとなると、最低でも350億円は必要なのだ。かように巨額の予算を必要とする高速道路を各地で相も変わらず建設しているにもかかわらず(その中には採算が疑問視されているものもある)、その一方で、桁違いに少額な出費で済むローカル鉄道救済に関して実に冷たいのである。お金の面でも、実は安上がりな鉄道を、もっと見直してもいいのではないだろうか?

 また、鉄道がバスとの競争に負けているという話もよく耳にする。確かに、バス会社はどんどん快適な車両を投入しているのに、赤字の鉄道は旧態依然とした鉄道ファン以外には見向きもされないような車両を走らせ、一般客から敬遠されている。

 しかし、鉄道とバスでは公平な競争はなされていないのだ。なぜなら、鉄道会社は車両のみならず、線路などの施設も自前で維持管理しなければならないのに、バス会社は、走っている道路に関してはタダ同然で利用していて、民間企業なのに、この部分に関しては、国におんぶにだっこの状態だからだ。

 これでは、対等かつフェアな競争とは言えないではないか。やはり、諸外国や国内の一部の鉄道ですでに行われているように、線路などのインフラは国や地方公共団体が管理する上下分離方式を大々的に取り入れるべきであろう。銚子電鉄もこの方式を望んでいるが、地元に任せるだけではなく、国が資金援助するシステムを法制化してもいいのではないだろうか。

 日本は、世界的に見ても有数の鉄道先進国である。しかし、それは技術的なことだけであって、鉄道を国の交通体系の中でどう活かしていくのか、とくに地方の鉄道をどう維持していくのかという面に関しては、先進国の中では冷淡に過ぎると思う。ひとつには、新幹線や都市鉄道が、世界にもまれにみる黒字を出せる体質であるので、それに反して落差の大きな地方鉄道をお荷物扱いしている風潮、赤字を出す鉄道は、事業として「失格」だとの「思い込み」があるからではないか。

 欧米先進国は、日本以上に車社会であって、鉄道は、幹線や都市鉄道であっても苦しい経営を強いられている。従って、鉄道経営は儲かるものと思っていないようだ。それでも、総合的に見て、鉄道は社会に必要だとの認識があるからこそ、税金を投入しても維持しているし、近年では積極的に投資さえしている。僻地のローカル線であっても、低床式のバリアフリー車両を走らせ、本数も、極限まで減らすようなことはしていない。社会インフラとして、公民館、図書館、エレベータと同じような考えで運営している(国や地域によっては、鉄道運賃を徴収していないところさえある)。それぞれの施設が「儲からなければ廃止だ」などと言わないのと同じ考えを鉄道に対しても取り入れている。

 ましてや、高齢化でクルマに頼り過ぎない社会を構築しなければならない今、老朽化した鉄道をリフレッシュして多くの人に使えるように財政的援助を与えるのは国の役目でもあろう。もちろん、鉄道事業者が企業努力をし、観光鉄道ならば、魅力的な車両を導入するといったアイデアを出すなど集客に努める必要があるのは言うまでもない。

 以上のことからも、資金面の理由だけから、銚子電鉄を廃止にするようだと、これは実に情けない話であり、社会の損失だと言わざるを得ないであろう。


↑駅構内で休んでいる引退した旧型車両

<参考>
銚子電鉄については、拙著「駅を楽しむ!テツ道の旅」(平凡社新書)もご覧ください。
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おもちゃのような楽しい新幹線の図鑑

2013-06-12 15:35:00 | 作家活動
出版社の人から、子供向けの新しい鉄道図鑑を作ったので、見てもらえませんかとの案内をいただきました。鉄道関係なら、子供向けでも面白そうだったので送っていただくよう返事しました。

さっそく届いたのですが、ポストに入らず宅配ボックスに置いてあるというかさばったもの。はて、本ではなく、おもちゃだったのかな?と不思議に思いつつ、中身を取り出しました。

どうみても本には見えません。しかし、裏にはしっかりISBN表示もあるので、本なのですね

さて、箱から中身を取りだすと、小さいけれど本らしい雰囲気です

東海道新幹線N700系「のぞみ」と東北新幹線E5系「はやぶさ」の先頭車が表紙で、実写なのでデフォルメなく正統的な真横から撮った写真です。では、本文をみてみようとページをめくろうとすると、おやおや。綴じてあるのではなく、列車が編成となって連なっていました。

写真は、特殊カメラによるスリット撮影。制約もあるので、実際の編成そのままではなく、5両編成になっていました。写真の裏側は、車内の様子がイラストで描かれていました。

「のぞみ」は普通車とグリーン車だけですが、E5系「はやぶさ」は、さらに最高級のグランクラスもあるので、眺めていて楽しいですね。

↑グランクラス(10号車)の紹介

↑こちらは、普通車(1号車)
席を探している人、本を読んでいる人、寝てる人、ぬいぐるみで遊んでいる子供、多目的室で休んでいる人、車内販売の売り子さん、グランクラスでワインのサービスを受けている人、と人さまざまで芸が細かいですね。車両の基本データ、車両の色のこと、車掌の仕事、車内清掃のことなど子供にも分かるようまとめられていて、これは確かに図鑑です。N700系のトイレの話など子供向けらしく、幼児語で書かれていて、これは微笑ましいと思いました。

一通り見終わって、折りたたんでケースに戻していたら、ケースには各列車の停車駅も書いてありました。

子供向けだからと言って、手を抜いていないところが立派です。これなら、大人の鉄道好き(ファンとまでいかなくても)にも受けそうです。

造本装丁コンクールの賞をもらったそうで、それを聞いて納得です。評判も良いようで、続編が出るとの話。次は、赤い新幹線E6系「スーパーこまち」や九州新幹線「つばめ」でしょうか?それとも寝台特急「カシオペア」やSL列車もありかな?と期待してしまいます。

ちなみに、「学研のびのびずかん」シリーズで一冊580円。子供へのお土産と言いつつ、自分用に買ってしまいそうな大人が続出しそうな楽しい本でした。

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真岡の広報用SL撮影会

2013-06-03 22:25:00 | 国内の鉄道
4月28日にオープンしたばかりの真岡(栃木県)の「SLキューロク館」で祭りの神輿とSLを絡めた広報用撮影会が非公式にあるので参加しませんか、との誘いがありました。キューロクに関しては、オープン前の試運転を取材しただけだったので、その後どうなっているのか、見てみたい気もして、二の返事で参加を表明しました。

6月2日は、雨かもしれないとの予想に反して、良い天気となりました。お昼過ぎに真岡に到着。SLキューロク館で待っていると、町のお神輿がキューロク館にやってきました。中々華やかで、見ているだけでもお祭り気分になってきます。

お神輿が所定の位置についたところで、キューロクの登場となるのですが、その前に脇を真岡鉄道のディーゼルカーが通過して行きました。

午後2時半になると、定例のイベントとして建物の中からキューロクこと9600形蒸気機関車が圧縮空気を動力として自力で出てきました。みんな待ち構えていたので、一斉にシャッターを切っていました。

普通なら、行ったり来たりと2往復してショーはおしまい。キューロクは建物の中に引っ込んでしまうのですが、今日は特別に居座り続けます。満足してしまったギャラリーの多くは退散してしまったのですが、関係者や勘のいいファンだけはしぶとく残っています。

撮影会なので、一般の人たちには、キューロクのそばから離れてもらって、すっきりしたところで、午後3時30分大きな汽笛が鳴って、蒸気機関車C12形牽引の「SLもおか」が発車しました。

キューロクとC12という2台の蒸気機関車の競演が実現。風向きもおあつらえ向きで、煙の流れもバッチリ。この場所に居合わせた関係者は、皆満足そうでした。

キューロクだけが残ったところで、特別の撮影会。足回りがきれいに写せるように安全対策の手すりをはずしていただいて、すっきりした写真を撮ることができました。

撮影会は、これにて終了。後片付けをしているうちに、先ほど下館に向けて出発して行ったC12が仕事を終えて真岡に戻ってきました。機関区のターンテーブルで方向転換するところを撮影するというおまけまでついて、大満足の一日が終了しました。

関係者の皆様、色々有難うございました。