徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

どんど堰とタンタン落し

2019-12-21 21:45:29 | 熊本
 壺川校区自治会報の最新号に校区内の坪井川にかかる橋を特集した記事が掲載されていた。郷土史を研究しておられる校区にお住いの佐治さんという方がまとめられたものだ。実は数年前に僕も坪井川の橋に興味を持って調べたことがあるが、なかなか手がかりとなる文献や資料を見つけることができず途中で断念した。佐治さんはよく調べられたなと感心したがだいぶご苦労があったようだ。
 中でも興味深いのは校区内で一番上流に架かる永康橋の項目。この橋は平成9年にコンクリートで架け替えられたが、僕の高校時代、木の橋で毎日通学で渡っていた。この記事に「どんど堰」のことが書かれていた。かつて灌漑用の堰があり、祖母などは坪井川のことを「どんど川」とも呼んでいた。しかし、この周辺の田畑は洪水対策の遊水池となったため、今ではコンクリートで固めた「越流堤」が築かれている。
 治水・利水の神様といわれた加藤清正はいろんな手法を使って治水・利水を行なったと伝えられるが、この「どんど堰」も「越流堤」も肥後の各地の河川で使っている。「明治前日本土木史」によれば「越流堤」を日本で本格的に採用したのは加藤清正が最初であるともいわれる。この「越流堤」の別名を「タンタン落し」と呼ぶそうだ。堤の崩壊を防ぐため、わざと曲面の斜面にして越流の勢いをそいでいたらしいが、「タンタン」の意味は「湛湛」なのか別の意味なのか文献を調べても見いだせない。


坪井川・永康橋の数百㍍上流。前方に「越流堤」が見える。


大雨で坪井川が増水し、「越流堤」を越えている。(2012年7月12日)


▼肥後のタンタン節
 これは熊本では健康体操などで人気の高い創作曲。「タンタン」の意味が、はたして「タンタン落し」とつながるのか、作詞者に聞いてみないとわからないが、「ポンポコニャ」「キンキラキン」「キンニョムニョ」など言葉遊びの好きな熊本人の特徴を表した唄の一つと言えるのかもしれない。