久しぶりに風邪で寝込んでテレビを見ていたら、谷川俊太郎さんの訃報が流れた。いろいろ書きたいこともあるが、今日はとりあえず、これまでブログに書き込んだ谷川俊太郎さんに関する話題を再掲することにした。
心よりお悔やみ申し上げます どうか安らかにお眠りください
◇43年目の真実「東京オリンピック」(2007.6.19)
17年前、ネットで東京オリンピック1964について調べていたら、南都上緒さんという方のサイト「なんとかかんとか」に迷い込んだ。そこには、映画「東京オリンピック」の製作裏話が詳細に記述されていた。その中に次の記述があった。以下、原文のまま
「脚本を見ると、『 水球。決勝。水中撮影で選手たちの下半身の激しい動作、それに伴う水の乱れを捉えたい。』・・・
公開された映画にはこんなシーンはない。しかし、僕は60年前のオリンピック終了後のある日、東京体育館プールで行われた追加撮影に参加した。そして、この脚本に沿った水中の格闘シーンを撮影した。
早速、南都さんにメールを出してみた。すぐに丁寧な返事が来た。このシーンはオリジナル版(劇場公開版)、ディレクターズカット版ともに入っていないと。つまりカットされたわけだ。
南都さんによれば、東京オリンピックで銅メダルを獲った男子バレーボールチームも後日、追加撮影をしたそうだが、結局使われたのは金メダルを獲った東洋の魔女チームだけだったと、男子監督だった松平康隆さんが著書で述懐していたそうである。この映画の公開直後、その記録性について、市川崑監督と河野一郎国務大臣(オリンピック担当)との間で激しい論争があったことは記憶に新しい。
僕はそのシーンの脚本が確かに存在していたことを確認できただけでも嬉しかった。この映画の脚本は和田夏十、白坂依志夫、谷川俊太郎、市川崑という大物4人の共同執筆である。追加シーンのエキストラの仕事が僕らのチームに回って来たのは、谷川俊太郎さんのお父さん、谷川徹三先生が当時僕らの大学の総長だったからではないかとにらんでいる。
◇ヤーチャイカ(2008.7.12)
製作前からNHKの番組などで紹介され、公開を心待ちにしていた映画。「写真映画」というコピーがついているが、1000枚のスチール写真をナレーションと音楽で綴った映画いわば長編スライドショーだ。つまり先般、自分が作ったスライドショーと基本的には同じ作りだ。そういう意味でもとても興味があった。出来映えもだいたい期待どおりだった。自分の作品は客観的な評価が難しいが、他人の作品は良し悪しがよく見える。この作品を見たことで自分の作り方が間違っていなかったなぁと自信にもなった。一つ言わせてもらうと、谷川俊太郎と覚和歌子という二人の詩人が作っているので、ナレーションはもっと詩的なものになるのかと期待していたが、オリジナルの物語だからやむをえないとは思うが、どうしても説明的になってしまうのが残念だった。しかし、覚さん自らやっている語りは好感が持てるし、香川照之の演技達者ぶりは静止画でもわかる。さらに尾野真千子はこれまで出演したどの動画よりも魅力的だ。
◇くまもと連詩(2010.3.20)
今日は午後から、青年会館ホールで行なわれた「くまもと連詩 声がつながる 口承連詩の試み」を見に行く。谷川俊太郎、覚和歌子、ジェローム・ローゼンバーグ、四元康祐、伊藤比呂美の5人の詩人たちと通訳・翻訳のジェフリー・アングルスによって練り上げられた30編の連詩が、作者本人の朗読によって紹介された。詩の朗読しかも連詩などというのは、見るのも聴くのも初めてだったので、とても新鮮で、軽いカルチャーショックを受けた。さすがは当代一流の詩人たち、いずれ劣らぬ“言葉の匠”ぶりを発揮していた。
また、冒頭では阿蘇神社の氏子たちによる「御田唄」が披露され、続けてジェローム・ローゼンバーグ氏が、セネカ族インディアンの唄を披露したが、二つの口承文化が、あまりにも似通っていることはちょっと感動的だった。そう言えば、岡本喜八監督の映画「EAST MEETS WEST 」(1995)で同じような話があったことを思い出した。
心よりお悔やみ申し上げます どうか安らかにお眠りください
◇43年目の真実「東京オリンピック」(2007.6.19)
17年前、ネットで東京オリンピック1964について調べていたら、南都上緒さんという方のサイト「なんとかかんとか」に迷い込んだ。そこには、映画「東京オリンピック」の製作裏話が詳細に記述されていた。その中に次の記述があった。以下、原文のまま
「脚本を見ると、『 水球。決勝。水中撮影で選手たちの下半身の激しい動作、それに伴う水の乱れを捉えたい。』・・・
公開された映画にはこんなシーンはない。しかし、僕は60年前のオリンピック終了後のある日、東京体育館プールで行われた追加撮影に参加した。そして、この脚本に沿った水中の格闘シーンを撮影した。
早速、南都さんにメールを出してみた。すぐに丁寧な返事が来た。このシーンはオリジナル版(劇場公開版)、ディレクターズカット版ともに入っていないと。つまりカットされたわけだ。
南都さんによれば、東京オリンピックで銅メダルを獲った男子バレーボールチームも後日、追加撮影をしたそうだが、結局使われたのは金メダルを獲った東洋の魔女チームだけだったと、男子監督だった松平康隆さんが著書で述懐していたそうである。この映画の公開直後、その記録性について、市川崑監督と河野一郎国務大臣(オリンピック担当)との間で激しい論争があったことは記憶に新しい。
僕はそのシーンの脚本が確かに存在していたことを確認できただけでも嬉しかった。この映画の脚本は和田夏十、白坂依志夫、谷川俊太郎、市川崑という大物4人の共同執筆である。追加シーンのエキストラの仕事が僕らのチームに回って来たのは、谷川俊太郎さんのお父さん、谷川徹三先生が当時僕らの大学の総長だったからではないかとにらんでいる。
◇ヤーチャイカ(2008.7.12)
製作前からNHKの番組などで紹介され、公開を心待ちにしていた映画。「写真映画」というコピーがついているが、1000枚のスチール写真をナレーションと音楽で綴った映画いわば長編スライドショーだ。つまり先般、自分が作ったスライドショーと基本的には同じ作りだ。そういう意味でもとても興味があった。出来映えもだいたい期待どおりだった。自分の作品は客観的な評価が難しいが、他人の作品は良し悪しがよく見える。この作品を見たことで自分の作り方が間違っていなかったなぁと自信にもなった。一つ言わせてもらうと、谷川俊太郎と覚和歌子という二人の詩人が作っているので、ナレーションはもっと詩的なものになるのかと期待していたが、オリジナルの物語だからやむをえないとは思うが、どうしても説明的になってしまうのが残念だった。しかし、覚さん自らやっている語りは好感が持てるし、香川照之の演技達者ぶりは静止画でもわかる。さらに尾野真千子はこれまで出演したどの動画よりも魅力的だ。
◇くまもと連詩(2010.3.20)
今日は午後から、青年会館ホールで行なわれた「くまもと連詩 声がつながる 口承連詩の試み」を見に行く。谷川俊太郎、覚和歌子、ジェローム・ローゼンバーグ、四元康祐、伊藤比呂美の5人の詩人たちと通訳・翻訳のジェフリー・アングルスによって練り上げられた30編の連詩が、作者本人の朗読によって紹介された。詩の朗読しかも連詩などというのは、見るのも聴くのも初めてだったので、とても新鮮で、軽いカルチャーショックを受けた。さすがは当代一流の詩人たち、いずれ劣らぬ“言葉の匠”ぶりを発揮していた。
また、冒頭では阿蘇神社の氏子たちによる「御田唄」が披露され、続けてジェローム・ローゼンバーグ氏が、セネカ族インディアンの唄を披露したが、二つの口承文化が、あまりにも似通っていることはちょっと感動的だった。そう言えば、岡本喜八監督の映画「EAST MEETS WEST 」(1995)で同じような話があったことを思い出した。