徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

上海の芥川龍之介 と ザ・わらべ

2020-01-06 22:00:39 | テレビ
 年末年始に見た数多くのテレビ番組の中で、印象深い一本が「ストレンジャー ~上海の芥川龍之介~(NHK)」だ。芥川龍之介の「上海游記」をもとに渡辺あやが創作したドラマ。渡辺あやのNHKドラマは6年前の「ロング・グッドバイ」以来。なぜか怪作が続いている。今回の「ストレンジャー」は、大正10年(1921)、中国上海に新聞社特派員として渡った芥川龍之介の目を通して、清朝崩壊後の中国社会の混乱が描かれ、それが彼自身の心身に少なからぬ影響を与え、6年後の自殺へとつながった可能性すら感じさせる。原作にはないフィクションが加えられているのだが、あの紀行文からよくこんな凄いドラマができるものだと、渡辺あやの創作力にあらためて感心した。



 ドラマを見ながら、どうしても思い出してしまう映像があった。今から8年前、熊本県、熊本市、熊本大学が上海に共同開設した「熊本上海事務所」の開所式が行われ、熊本県知事、熊本市長、熊本大学学長を始め、県の経済界からも多数が出席した。夜に行われたレセプションでは、熊本の伝統芸能を代表して少女舞踊団ザ・わらべが出演、華麗な舞を披露した。ところが、文化が違うのか、進行がまずいのか、出席者は熱演する少女たちを無視、ワイワイガヤガヤが止まらず、舞台が台無しになったのである。それにもめげず踊り切った彼女たちを褒めるしかないが、上海と聞くとついこの出来事を思い出してしまうのである。


2012年1月 中国・上海市「熊本上海事務所 開所式」