ハナンのヒツジが生まれたよ/文・井上友香 絵・小林 豊/小学館/2011年初版
ヨルダン、ベドウインの羊飼いの少女、ハナンが主人公で、作者が実際に会った家族の生活を描かれています。今から20年前のことのようなので、今もそんな生活をしているのかは、さだかではありませんが・・・。
砂漠の遊牧民であるベドウインの人々は羊を育て、それを売って暮らしをたてていますが、夏になるとオアシスをもとめて移動します。
朝ご飯は、ナツメヤシ、ヨーグルト、トマトやキュウリ。
そしてジャムをぬった焼きたてのホブズ(アラビアのひらべったいパン)。
かたくなったホブズをお湯にふかすとやわらかくなり、子ヒツジのすきな餌になるといいいます。
かわいた畑にトマトがなっているのが印象にのこります。
一か月、日の出から日の入りまで断食をするラマダーンのことは知っていましたが、イスラム暦の関係で毎年、すこしずつずれていくんですね。
ジンという変幻自在な魔物もはじめて知ることができたもの。「コーラン」にも書かれていて、「アラジンと不思議なランプ」にも「ランプの精」や「指輪の精」として登場しますが、もとのすがたがなく、何にでも化けられるという存在。
「世界は広い。いろいろな国がある。いろいろな暮らしがある。」という巻頭の文からはじまりますが、知っているようで知らない世界がまだまだ多いということでしょうか。
小さい子にはむずかしそうです。