・芋ころりん(昔話に学ぶ「生きる知恵」➂馬鹿の鏡/藤田浩子:編著 小林恭子・絵/一声社/2006年)
似たような昔話も多いのですが、藤田さんにかかると本当に笑えるものに変わります。
早々と年貢米が集まって、喜んだお役人が振舞いをしてくれるというのででかけることにしたお百姓たちでしたが、飯食う作法をしらないとみんながおじけづきます。
庄屋さんにきいてもよくわからない。
庄屋さんもでかけることになって、まねをするようにいいます。箸をもち、汁をすい、飯をたべるところまではまあまあ。
ところが、庄屋様が里芋を食べようとして、里芋がぽとんとおちて、ころころころがると、お百姓も里芋を落とすのが作法とばかり、どんどん落としてしまいます。びっくりした庄屋が、手をふるとお百姓たちも手をふります。
庄屋が驚いて、納戸の方に逃げていこうとして、ふんどしの端を踏んずけると、お百姓もそのまねをしはじめます。
お百姓の名前が一兵衛、二兵衛、三兵衛で掛け合いが何回かでてきます。
庄屋さまの解説も、右手で箸をもちあげ、左手で下からささえ、右手をもちかえる 次には汁を一口、飯をひとくち、また汁を一口、それから飯を二口、それからおかずに手を出すと細かなもの。これではたしかに一回聞いただけではおぼえられません。
役人のところにでかけたのは、百兵衛さんまでいますから、百人。
この百人が里芋を落としたら大変なことになりそうです。
・いもごろごろ(川村 たかし・文 村上 豊・絵/教育画劇/1998年)
山の村を出たことのない男たちが庄屋さんに連れられて、大阪見物にでかけました。村を出るのがはじめてなら、宿屋にとまったこともはありません。「こまったらわしの真似を しとけば ええ」と言われ・・。
晩御飯にどぶろくがでて すするとこまではよかったのですが、庄屋さんがむせてせきこむと みんなも コッホン コッホン。
めったにたべたことのない白いごへんを がつがつたべて、息が詰まりそうになり、目を白黒させると、みんなも目を白黒。
水瓶のあるところまではっていくと、みんなも廊下をはって。
「そんなことまで まねることはない」と、後ろの人をけりつけると、次々に、後ろの人を けって。
いもをたべようとすると、いもがころがって・・・。
「もう まねせんで ええのや」と、庄屋さんが 隣の人を ひじで つっつき 次々とつっついていきますが、最後の人は?・・。
村上さんの絵が、いい雰囲気です。目を白黒させる場面は、おもわず笑ってしまいました。
にたような話より、真似をする場面が多いのが特徴です。
子どもの反応が、いまひとつなのは、「そんなことはしない」よと、冷静なのが影響しているのかもしれません。