アフリカの民話集/しあわせのなる木/島岡由美子・文/未来社/2017年
・カバとワニの友情物語
動物の村に住んでいたカバでしたが、「カバくん、体の大きな動物には、ライオンやチーターたちからほかの動物たちを守るという役目があるのに、きみはよわむしすぎてその役目を果たせない。だから、きょうかぎり、この村から出て行っておくれ」と、動物からいわれて、村をでていきましたが、どこにいけばいいかわかりませんでした。
そんなカバに救いの手をさしのべたのはワニでした。水の中でくらせばいいじゃないかといわれ、ワニから泳ぎを教えてもらったカバ。
すぐに泳げるようになったカバでしたが、ワニの真似をして魚を食べようとしても、水辺をとおりかかったインパラを食べようとしても、ワニからすごい剣幕で怒られてしまいます。獲物を横取りするなというのです。それからサバンナにいって草を食うようにいわれたカバは、それからは夜のうちに、陸に上がって、草を食べるようになったのです。
カバが草食というのが、なかなか結びつきませんが、大きな体を維持するためには、量も必要です。
・ルウェンゾリ山の火と、ナイル川のカバ(ウガンダ)
むかしむかし、カバと火は大の仲良し。
カバは毎日火のところにいって、たくさんおしゃべりをして楽しくすごしていました。火は山の上に住んでいたので、カバは毎日山をのぼって会いに行き、日が暮れるころに山をおりて家にかえりました。(これは これは大変そう!)
火とカバが友だちと聞いたウサギが、「お互いの家を行き来しないのなら、カバくんが思っているほど、火はきみのことなんか友だちだとおもっていないさ。」といいました.
カバは火を家に招待しますが、火は山の上にいなくちゃいけないんだと、ことわります。
ウサギから再度友だちでないといわれたカバは、火を自分の家に案内することになりました。
火が山をおりていくと、火がたどった道がぼうぼうもえて山火事がおきました。そして火がカバの家に入ると、その家は火事になってしまいます。そのころのカバは、体にふさふさと毛が生えていたのですが、このときの火事がもとで、体がつるつるになって、体が乾くとまだやけどのあとが痛むので、水の中にはいってははだをいたわるのです。
カバは火のそばにいっても 耐えられたのでしょう。