アフリカの民話集/しあわせのなる木/島岡由美子・文/未来社/2017年
ある日、カラスは飛んでいる自分に、ハイエナが挨拶してくれたのがうれしくて、わざわざ地上におりてきました。
ところが、ハイエナは三日も我慢していたクソを、どっばっとカラスにぶっかけたのです。目も鼻も耳もぜんぶクソまみれになって、死ぬほどのくるしみ。それでも雨季の雨のせいで、ハイエナは、やっと元気を取り戻しました。
ずいぶんとたった日、ハイエナの頭に動物の骨がこつんとあたりました。ハイエナにとっては骨だってごちそうです。そんなことが三日も続きました。上を見るとカラスが飛んでいました。骨はどこでみつけたのと、ハイエナがたずねると、カラスは、白い雲を見ながら、あそこにいけばいくらだってごちそうがあるんだよと こたえました。
カラスは、白い雲にいきたいというハイエナを、おっぽにつかませて飛びはじめます。
カラスは、どうせなら家族もつれていってあげるとさそい、ハイエナのおくさん、子どもも、カラスのしっぽにつかまり、空を飛んでいきました。でも、若いころワニに足を食われて、後ろ足が短くなってしまったおじいちゃんハイエナは、もう年だからと、みんなを見送りました。
空を飛んでいたハイエナの家族は、白い大きな雲のそばまできたときに、カラスのしっぽがぷちんときれて、地上に落っこち、みんなみんな死んでしまいました。
家で留守番していたおじいちゃんハイエナは、しかたがないので、また一から家族をつくりなおして死にました。
カラスの仕返しは、あらかじめ計画されていたのでしょう。また、おじいちゃんは、ちゃんと先を見ていたのかも。