どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

つんぶくだるま

2022年02月26日 | 紙芝居(昔話)

     つんぶくだるま/鳥兎沼宏之・作 金沢佑光・画/童心社/1981年

 

 暑い夏のこと、村のいたずらっこが お寺の お堂にまつってある だるまさんを持ち出し、川で浮袋代わりに遊んでいました。ところが、ばんげになって 「かえるが なくから かーえろ」と、子どもたちは だるまさんを おいてけぼり。

 だるまさんは「つんぶく つんぶく」と、川を流れて、おおきな川へ ながれこみました。夜が明けてみると、だるまさんは 海のそばまで。

 ちょうど 釣りに来ていたおじいさんは だるまさんを 家に持って帰り、なんども なんども手を合わせて おがみました。

 何日かたって、だるまさんは「村に わるい病気がはやっていて みんなを助けたい。わしを もとの 村へ もどしてくれんかの。」と、おじいさんに 頼みました。

 おじいさんは、夢の中でだるまさんの ことばを聞き、「えっさ えっさ えっさっさ」と、もとの村へ連れ帰ります。

 お寺の和尚さんが だるまさんを お堂に おまつりして 「なむ だるまたいし。」とおいのりすると、病人は 元気になります。

 だるまさんを運んだ川下のおじいさんは、「もしも、わしらのほうで はやりやまいがおこったら、ぜひとも たすけにきてくだされや」と、たのむし、いたずらっこは「もう 川へ ほうりこまんから、ここにいて、村をまもってくれや」といったし、和尚さんも「ありがたや、ありがたや」と、おがんだという。 

 

 放置されたことを怒るのでなく、流行り病に苦しむ 村の人を 助けようとする こころやさしいだるまでした。

 大きな川は最上川。つまり山形の話がもとになっています。

 作者の鳥兎沼さんは、小学校教諭とありました。