ナイチンゲールのうた/ターニャ・ランドマン・作 ローラ・カーリン・絵 広松由希子・訳/BL出版/2022年
むかし、地球はみずみずしく、空も、山も、海も、砂漠も、森も色にあふれていた。ところが、動物たちは色がなく、ぼんやりくすんでいました。
なんとかしないと、と立ちあがった「えかきさん」。
えかきさんは、すべての 動物たちをよびあつめ、絵の具箱をあけて、あらゆる動物たちに色をつけていきました。
テントウムシ、チョウチョから、シマウマ、キリン、ペンギン、フラミンゴ。
ワニ、ゾウ、カンガルー、オランウータン、ライオン、そしてクジラ、オウム。
えかきさんが一日中はたらき、家に帰ろうとすると、一羽の小鳥が とんできました。この鳥は 行列に並んだ動物たちのさわぎにおびえていました。そのうえ、明るい昼間のあつさが 苦手で、夕方のすずしさと、夜のしずけさが すきでした。
えかきさんが、絵具箱を開けると絵具がありませんでした。ほかの棒物たちに すっかりつかってしまったのです。しかし、筆を見ると、筆の先に、金の絵の具が ひとしずくだけ のこっていました。えかきさんは 小鳥の くちばしに 金の絵の具の ひとしずくを のどのおくに ぽつんと たらしました。その小鳥は、ナイチンゲールー夜なきうぐいすーでした。
ぼんやりくすんだ動物が、カラフルに変わっていく様子は、あらためて色の持つ魅力にあふれています。