どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

飯を食わん嫁女・・宮崎

2023年06月14日 | 昔話(九州・沖縄)

        宮崎のむかし話/宮崎民話研究会編/日本標準/1975年

 

 昔、あるところに、けちんぼの男がおったと。

 嫁女をもらっても、三日も四日も飯を食わせなかったので、たまりかねた嫁女は、おいおい泣きながら逃げてしまう。男はまた嫁女をもらっても、やっぱり飯を食わせなかったので、二人目の嫁女も、怒って家を出てしまう。六人もの嫁女をもらっても、どれもこれも逃げてしまう。

 それで、「飯を食わん嫁女がおらんものか」と、村じゅうを歩き回るが、だれからもあきられて、だれも相手にしない。

 ところがある日、真っ白いひげのとしよりがやってきて、七人目の嫁女を紹介してくれた。

 としよりが連れてきたおなごは、からだはちいさいが、朝から晩までよく働く。それでも飯は一口も食べない。男のそばにいても、ひもじいようすもみせない。一年たち、三年たち、五年たっても、飯は食わず、欲しがりもしない。

 七年目のある晩、男がふと目を覚ますと、嫁女の姿が見えない。物音がするかまどのほうにいってみると、嫁女が飯を食っている音。ひとかかえもある釜でたいた飯を、おっきなどんぶりで、わしわし食っていた。

 男が問いただすと、七日に一度ずつ飯を食っていたという。怒った男は、泣きわめく嫁女を、荒縄で縛り、樽に詰め込んで、人買いのいる港に連れていき、高く売ろうとしたと。

 男が、金儲けができると思って樽をあけると、中から出てきたのは、嫁女でなく、白いひげのとしより。このとしよりは、強い力でにげまくる男を、あっという間に、つかまえると樽の中にいれてしまい、男は人買いに安く買われたと。

 

 七年間たって、ようやく気がつくのは、ほかの地域の「食わず女房」と、だいぶちがいます。
 また、人買いがでてきますが、子どもだけでなく、大人も対象になっていたのでしょうか。