どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

画本 風の又三郎

2024年10月01日 | 宮沢賢治

   画本 風の又三郎/原作・宮沢賢治 藤城清治・影絵/講談社/2014年

 

 宮沢賢治の「風の又三郎」を、藤城清治さんが、作中のいくつかの場面を影絵で描いています。制作過程のスケッチもそえられています。

 原作は、夏休みが終わって、九月1日の学校の再開からはじまって、九月十二日までの二週間に満たない期間を、日記風に展開していきます。

 「どっどどどどうど どどうど どどう、青いくるみもふきとばせ すっぱいかりんもふきとばせ どっどどどどうど どどうど どどう」とはじまる導入部。

 教室が一つで、全校生徒38人。運動場はテニスコートぐらいの小さな小学校にやってきた転校生の高田三郎。みんなは「風の又三郎」とよんでいました。・・・。

 赤い髪、ガラスのマント、光るガラスの靴。転校生というのははっきりしているのですが、どこか謎めいた三郎。たった二週間にも満たないうちに、前の学校にもどっていきますから、正体はわからずじまい。

 子どもたちの服装、小さな学校の校舎は、この舞台にふさわしい。馬をおったり、ぶどうをとったり、川遊びをする子どもたち。

 繊細で精密な絵を見ているだけでもうっとりします。だいぶまえ、藤城氏の影絵の森美術館にいって感銘したのを思い出しました。

 「雨はざっこざっこ雨三郎 風はどっこどっこ又三郎」のフレーズも忘れられない。