ゆうかんなちびの仕立屋さん/スベン・オットー・絵 矢川 澄子・訳/評論社/1982年
布切れでジャムをぬったパンにむらがったハエを、ひとたたきで七匹を殺した仕立屋が、自分の勇ましさを町中、いや世界中にしらせようと世の中に出て行った仕立屋。
類話もたくさんあるので物語の展開はそんなに珍しいものではありませんが、巨人とのかけひき、王さまに仕えて、大男二人、一角獣、いのししを退治し、王女と国の半分を手にした仕立屋でしたが、そこからすこしひねったラストがあります。
仕立屋の寝言で、正体を知った若いお妃が、別れさせてくれるよう王さまに訴えると、王さまは、仕立屋が寝込んだら、踏み込んで縛りあげ、船で遠くに追い払おうとします。
しかし若殿びいき(仕立屋)だった太刀持ちが、この企てを告げ口します。
すると、仕立屋は「ひとうちで七つ、大男も二人ころし、一角獣もとれば、いのししだってつかまえた。そのおれさまが、外にいるやつらなんぞ、おそれるものか」とわめきはじめます。
おそれをなした、外の人々はあわててにげだしてしまいます。
こうして、ちびの仕立て屋さんは、そのまま一生、王さまとしてすごします。
大男との力比べで、石の代わりにチーズを握りつぶし、夜大男が鉄の棒でひっぱたたいても翌日の朝はけろりとした仕立屋。じつはベッドがおおきすぎて、すみっこに寝ただけ。
いのししは、礼拝堂に閉じ込めてしまいます。
まわりが勘違いするだけなのですが。仕立屋も随分と調子いい男。
自分を信じるのが大切なのでしょうか。
絵本にしては文章が多いので、読み聞かせにはどうでしょうか?
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