七羽のカラス/ブライアン・ワイルドスミス・絵 どばし たまよ・訳/らくだ出版/2000年
お父さんの一言でカラスになってしまった七人の息子たち。
その妹末っ子のアンナが、指輪と水に入った壺、小さな椅子をもって世界の果てに行きます。
さらに太陽と月のところにいきますが、太陽はとてもあつくて、やけどをしないうちにそこをにげだし、月には冷たく意地悪されて、次にいったのは、星のもと。
明けの明星から、兄さんたちのいるガラスの山の門をあける魔法の骨をもらってさらに旅を続けるアンナ。
ガラスの山の門をあけようとすると、魔法の骨はどこかでなくしていました。しかし小指を差し込むと門はあきはじめます。
ガラス山の中に入ると番人がいて、部屋に案内してくれます。カラスは留守でしたが、アンナはカラスの食事を一口づつ、カップの飲み物も一口ずつ飲み、最後のコップに指輪をおとしておきます。
カラスの兄さんたちがコップの指輪をみつけ、妹がきたことがわかりました。アンナが姿をあらわすと、カラスの呪いはとけて、七羽とも人間の姿にもどり、家に帰ります。
もとの話は、太陽は小さな子どもたちをむしゃむしゃ食べる存在。門をあけるときナイフで指を切り落として戸にさしこみますが、絵本ではドキッとする部分は割愛されています。そしてアンナは女の子、そしてガラスの山でむかえてくれるのは、番人ではなくこびと表現されています。
なんといってもブライアン・ワイルドスミスの絵、とりわけ太陽、月、星、ガラスの山は魅力的です。しかし、兄弟の服が現代風なのは好みが別れそうです。
初版では兄弟が三人ですが、二版以降では七人。七人のほうが物語の厚みが増し、絵本にしても絵になりやすいようです。